能登半島地震 高齢の被災者の支援の現状と課題は 現地入りした社会福祉施設勤務の男性が語る

テレビ愛知

能登半島地震の被災地ではDCATという災害支援部隊が活動しています。DCATとは「災害派遣福祉チーム」のことで、被災した高齢者や障害者などの福祉支援のために、社会福祉士、介護福祉士、ホームヘルパーなどで編成され、避難所などに派遣されます。

2月3日から7日までの5日間、DCATとして石川県志賀町の避難所に派遣された豊橋市の松本圭祐さんに、現地の状況や活動内容について話を聞きました。松本さんは普段、豊橋市の社会福祉施設に勤めています。

不安に思っていることなどをアンケート

DCAT

――普段は豊橋市の社会福祉施設に勤めていて、今回DCATとして派遣されたそうですね。現地での活動について教えてください。

初めての体験で、直接な支援として食事介助や排泄のお手伝いがメインになるのではないかと思って向かいました。実際は、相談コーナーの運営や、避難者の方のアセスメント、巡回活動がメインの仕事でした。そのほかにはラジオ体操や感染予防対策で換気の案内をしていました。

――避難者の方のアセスメントとは、具体的にはどのようなことでしょうか。

基本的に日中、避難所生活の方はいない方が多く、情報等が取れていない状態でした。氏名や年齢、持病や飲んでいるお薬の情報、不安に思っていることなどを簡単にアンケートとして配布させていただき、返答してもらっていました。

高齢の方は体を動かさない方が多く、「体操を一緒にやりませんか」とお声掛けしたら、集まってくださいました。

情報交換をして支援に入ることの難しさを実感

体操

――体を動かさない高齢者の方に対して、どのような懸念がありますか。

認知症の進行や、体力が落ちてしまう方が多いのではないかと思います。

――想像と違っていたことも多くあったと思います。一番違うと思ったことは何でしたか。

連携として医療につなげたり福祉的なニーズをつなげたりするために、大きなミーティングを毎日開催していました。そこで情報交換をして支援に入ることが一番難しかったです。

――今回が愛知県DCATとして初めての活動でしたが、より良くするために後任の方にはどのようなことを伝えましたか。

各医療機関の動きや赤十字の動き、行政の方の動きも理解し、ある程度知識を持って行くことが大切だと思いました。後任のチームには、自分が得た知識をつなげていきたいと思います。

■DCAT(災害派遣福祉チーム)
東日本大震災で避難所での福祉支援が必要という声が高まり、厚生労働省が県ごとに整備を進めました。愛知県では2015年に結成。今回の能登半島地震で愛知県から、1月22日~現在までに6班、延べ25人が派遣されています。

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