名前は海でも水がない?「月の海」に水はあるのか?【図解プレミアム 宇宙の話】

月の海のでき方

月を望遠鏡で見たときに、黒く、広く平らに見える部分があります。これがまるで海のように見えることから「月の海」と呼ばれるようになりました。では、その海に水はあるのでしょうか?原始地球では、衝突した無数の微惑星などが水を運んできました。月も、その形成時には同じように水が運ばれてきたはずです。

ところが、月の直接探査の結果、月面に水の存在を確認することはできませんでした。ほとんど大気のない月では、太陽に照らされる昼間は100度、太陽があたらない夜間はマイナス170度という激しい温度差があります。これでは液体の水は存在できず、たとえ水があったとしても、氷から直接真空中に昇華してしまうでしょう。

それでは、「月の海」はどのようにしてできたのでしょうか。天体の衝突でできたたくさんのクレーターがあるあたりに巨大な天体が衝突し、内部からマントル物質(マグマ)が噴出。それによってつながったクレーターのくぼみに溶岩流が広がりました。これが固まってできたのが「月の海」です。

「海」が黒く見えるのは、黒っぽい玄武岩質の溶岩で覆われているからです。「月の海」は月面に大小多数存在し、月面で最大の海である「嵐の大洋」の場合、直径2500キロメートルを超えます。月の直径が約3500キロメートルですから、それがいかに大きいかわかるでしょう。発見されている「月の海」にはそれぞれ名前がつけられています。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解プレミアム 宇宙の話』
監修:渡部潤一

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