Windows 11 バージョン24H2、一部の古いPCでは動かなくなる可能性

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公式にはWindows 11はWindows 10よりもシステム要件が厳しいが、様々な手口で要件チェックを回避でき、古いハードウェアでもインストールが可能だ。マイクロソフトが公式にサポートしていなくとも、Windows 10を起動できる64ビットPCであれば、Windows 11はほとんど問題なく動いていた。

しかし、次期大型アップデートとなる「Windows 11 バージョン24H2」では、それが少し変わっているようだ。

XユーザーのBob Pony氏は、現在テスト中の最新版Windows 11 24H2(ビルド25905)は「POPCNT」と呼ばれる命令をサポートしていない古いプロセッサーでの起動を拒否すると報告している。プログラマーのVaibhav Sagar氏によると、「POPCNT」は“population count”の略で「マシン語のビット数を数える」ために使われるという。

なぜPOPCNTの有無がWindowsが起動できるかどうかの線引きになったのか不明だが、Windowsカーネル、システムのUSBとネットワークドライバー、その他のコアシステムファイルの起動には、この命令が必須となったようだ。

米Ars Tecnicaによると、新しめのx86系CPU(大ざっぱにいえばインテルやAMDのPC向けプロセッサー)では、POPCNTはSSE4命令セットの一部として実装されている。インテルのチップでは、コードネーム「Nehalem」と呼ばれた第1世代Coreアーキテクチャにて追加。AMDのプロセッサーでは、K10アーキテクチャに基づくPhenom、Athlon、Sempron CPUで初使用されたもの。これらは、それぞれ2008年と2007年にまで遡る。

つまり、2000年代半ばのインテルCore 2 Duoや初期のAthlon 64を積んだPCは、Windows 11を起動できなくなる。

要はWindows 11を実務に使っているユーザーよりも、お遊びでレトロPCにインストールして鈍重な動作を楽しむ、あるいはYouTube動画を作成する好事家に影響を与えることになる。これらのPCのRAMを増やし、古いハードディスクをSSDに換装したとしても、Windows 11どころかWindows 10さえまともに動くとは考えがたい。

Windows 11のシステム要件は大まかにはCPUのクロック速度(1GB以上)やRAM容量(4GB以上)、ストレージ(64GB以上)とされている。が、それ以外に現代のニーズに合わせた細かな要件もあり、一見して分かりにくくなっている。

たとえばCPU要件(インテル製は第8世代 Core以降、AMD製は Ryzen 2000シリーズ以降)はメモリ整合性保護の一部を高速化するセキュリティ機能のMBEC(モードベースの実行制御)対応が一因と推測される。CPUメーカーはPOPCNTやMBECにつき資料に記載していないが、OSが複雑化するにつれ、こうした機能が複雑に機能しているようだ。

今年(2024年)内には次期「Windows 12」は登場せず、このWindows 11 24H2が唯一の大型アップデートとなり、高度なAI統合をもたらす見通しだ。同じWindows 11ブランドだけに、古いPCのさらなる“足切り”は最小限に留まるようだが、来るWindows 12では大ナタが振るわれるのかもしれない。

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