甘利氏、選挙対策で全国に100万円バラマキか…政策活動費の可能性「裏金で選挙に勝ってきた」怒りの声

今国会で問題が追及されている「政策活動費」。政党から政治家個人に支出される政治資金で、使途の公表義務がないため、「抜け穴」「裏金の温床」と指摘されてきたが、その “行方” の一端が見えてきた。

2月14日の「中国新聞」は、自民党・甘利明議員が2019年の参院選で、「陣中見舞い」として、全国の公認候補に100万円を配っており、その原資が政策活動費だった可能性がある――と報じている。

2019年7月の参院選当時、甘利氏は自民党の選挙対策委員長。甘利氏が宮城選挙区の公認候補だった愛知治郎元参院議員の後援会幹部に現金100万円を渡していたことが、愛知氏らへの取材でわかったとしている。

この「甘利氏の100万円」が発覚したのは、2019年の参院選での河井克行元法相の買収事件がきっかけだった。検察が押収した河井元法相のメモには「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と書かれており、これが裏金の提供だったとみられている。

政治資金収支報告書では、参院選前の2019年1~6月に、甘利氏は8060万円の政策活動費を自民党から受け取っている。

甘利氏は2023年の中国新聞の取材に対し、元法相以外の候補にも一律で金を配っており、その原資は党からの金だと説明している。

政策活動費が全国の候補者に配られた――と考えるのが自然だが、甘利氏は今回の中国新聞の取材に対して「使途公開は政治活動の自由とも密接に関わる。お答えは差し控える」と回答している。

「政策活動費の原資は国民の税金ではなく、個人や企業、団体からの献金であり、使途を公開しないというのが自民党の主張です。

しかし、政治とカネの問題がクローズアップされ、透明化を求める声も多い。特に自民党は、他党に比べ政策活動費の額が飛び抜けて多く、2022年は総額約16億4000万円のうち、自民党は14億1630万円でした。

2021年分の政治資金収支報告書をみても、選挙とカネの関係が浮かび上がってきます。

同年10月に衆議院が解散されると、総選挙に向けて動きが激しくなります。当時自民党幹事長だった甘利氏には、10月5日から25日までの間に約3億8000万円が支払われています。

他にも遠藤利明選対委員長9500万円、麻生太郎副総裁5000万円など、この10月中に党幹部に渡された政策活動費は総額6億4000万円にもなります」(政治担当記者)

SNSには、

《政策活動費、裏金同様、買収資金と見られても致し方なし。選挙のカラクリがはっきりしてしまった》

《裏金問題は「入口」以上に「出口」が重要 裏金を何に使ったかに焦点があてられるべき 「政治には金がかかる」は嘘で、「裏金で選挙に勝ってきた」が実態》

《政策活動費が突出している自民党が選挙で勝つ構図 選挙もカネ次第と思われても仕方なし》

など、怒りの声が渦巻いている。

2月14日の国会では、立憲民主党の井坂信彦議員が、甘利氏が2019年に党幹事長在任中の約1カ月間で3億8000万円の政策活動費を受け取っていたことを指摘。岸田文雄首相は「違法な使い方はされていない。適正に使われている」と答弁したが、納得できる国民はどれだけいるのか――。

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