ブラインドサッカー日本代表のエースストライカーは、松本市の高校2年生・平林太一選手。憧れの舞台・パラリンピックに向けて、新年の練習を始めました。目標はメダル獲得です。
得意のドリブルでピッチを駆け回る平林太一選手17歳。松本美須々ヶ丘高校の2年生で、ブラインドサッカーの日本代表です。
都内で行われた新年最初の強化合宿。日本は最新の世界ランキングで過去最高の3位。夏のパリパラリンピックではメダル獲得が期待されます。
ブラインドサッカー日本代表・平林太一選手(17):
「やっぱり一番はメダルを取ること。チームの目標にしているので、そこに貢献できるように頑張っていきたいと思います。ブラインドサッカーが人生の生きがい、自分が代表に入って、もっと上にいきたい」
太一さんがサッカーを始めて10年。憧れの舞台はすぐそこです。
1歳で目の病気にかかり、4歳で全盲となった太一さん。
小学1年生のとき、音が出るボールを使うブラインドサッカーの教室に参加し、夢中になりました。
前向きで、仲間思いの太一さんに合っていたようです。
平林太一さん(当時9歳):
「サッカーはみんなと協力できるから、みんなと仲良くなれたり、つながれる」
日課となった父・道広さんとの「朝練」ではー。
平林太一さん(当時10歳):
「楽しいは楽しいけど、すぐゴール入っちゃうから。もうちょっと取ってほしい」
この頃に抱くようになった夢、それがー。
平林太一さん(当時):
「ブラインドサッカーの日本代表のエースになれたら」
太一さんは「松本山雅B・F・C」の中心選手として実力をつけ、全国大会にも出場。
2022年、高校1年生で日本代表に初めて選ばれました。
パリパラリンピックの出場枠をかけた2023年の世界選手権では4得点。太一さんの活躍もあり、日本は初めて自力でのパラリンピック出場権を獲得。
「日本代表のエースになる」という夢も実現させたのです。
元旦、太一さんは家族そろって近所の神社へ初詣に。
願ったのはー。
平林太一さん:
「あえて『秘密』に。自分の願いを込めました」
気持ちはすでにパリに向かっています。
平林太一さん:
「もう今年になったんだなと気持ちが引き締まりますね。2024年といえば自分としてはパリパラリンピックが一番大きい行事ですし、人生でも大きな意味を持つ大会になると思うので」
幸先がいいことに、おみくじは大吉!
平林太一さん:
「(新年)最初からもってるかもしれない」
母・小百合さん:
「『善根を多く積み、その果報がつきざるようすべし』『時をえて立身出世すべし』いいじゃないですか」
弟・元稀さん:
「やっぱ金をメダル取ってほしいですね」
妹・亜里咲さん:
「金色のメダルを取ってほしい」
年末年始は、2週間ほど練習がない長いオフ。両親、祖母と4人きょうだいでゆっくり過ごしました。
平林太一さん:
「そろそろやんないとまずいんじゃないかという気持ちにはなります」
家族はパリに応援に行くか検討中です。
平林太一さん:
「チケットは家族の、用意されるらしくて」
父・道広さん:
「え、そうなの。何人分あるの」
平林太一さん:
「知らん」
父・道広さん:
「チケットだけだよな」
平林太一さん:
「そりゃ旅費は…」
父・道広さん:
「笑」
母・小百合さん:
「今までは来年、来年って言ってたけど、もう今年なんだって感じ」
祖母・登茂子さん:
「点をたくさん入れて。おばあちゃんに金メダルをかけてもらいたいな」
父・道広さん:
「もう絶対、メダルを取ってきてくれると信じているので大丈夫じゃないかなと。楽しくやってくれればいいと思っているので、変わらずですね」
家族の期待に太一さんはー。
平林太一さん:
「楽しくって言われましたけど、強くなっていたら楽しいし、勝てたら楽しい。勝つ喜びっていうか、そういうのを代表になってから1年半くらいすごく実感できた、知ってしまったので、もっとこのチームで勝ちたいという心が練習重ねて強くなっていく」
そして迎えた初合宿。
代表メンバーは、ほとんどが20代から40代の社会人選手。平林選手は唯一の10代ですが、選ばれた「責任」を感じています。
ブラインドサッカー日本代表・平林太一選手(17):
「ここが一番いろんな経験ができるし、自分を高められるところだと思っているんですけど、一番結果が求められるところでもあるので、そこはしっかりした気持ちをもって所属しなければいけない」
日本代表は、開催国枠で出場した前回の東京大会で5位入賞。
目標はパリでの「メダル獲得」です。
ブラインドサッカー日本代表・川村怜主将:
「メダル獲得という大きな目標にチャレンジして、全員でパリに出場する選手に選ばれる競争が激しく行われている。ピッチ上でしっかりアピールして、みんながいい競争をして、チーム全体で高めあっていければ」
平林選手に期待されるのは、得意のドリブルからの得点。シュートの精度をさらに高めたいところです。
ブラインドサッカー日本代表・平林太一選手(17):
「ドリブルは得意なんですけど、シュートの部分がすごく課題が残るので、しっかり詰めて、もっともっと自分の役割を全うできるようにしていきたいです」
ブラインドサッカー日本代表・川村怜主将:
「(平林選手は)世界からも注目されていますし、日本を代表するトッププレイヤー。日本を勝利に導く得点、ゴールを決めてくれるとうれしいです。僕も期待しています」
家族、チームの期待を背負い、憧れの舞台へー。
ボールを蹴り前に突き進む姿は、平林選手の生き方そのものです。
ブラインドサッカー日本代表・平林太一選手(17):
「(ブラインドサッカーは)自分の人生とイコールというか自分の人生そのもの。チームを勝ちに導きたいと思っているので、そのためには点を取ることが自分に求められている。もっと磨いてもっと点を取れるようになりたい」