篠原涼子×バカリズムの“良さ”を引き出せる座組に? 『イップス』の会話劇に高まる期待

篠原涼子とバカリズムが4月期のフジテレビ金9ドラマ『イップス』でW主演を務めることが発表された。本作は、「できていたことができなくなってしまう」イップスという心理状態にフォーカスし、小説を“書けなくなった”おしゃべりなベストセラーミステリー作家と、事件を“解けなくなった”自己評価高めのエリート刑事の姿を描くミステリーコメディだ。ミステリー作家の黒羽ミコを篠原涼子が、警視庁捜査一課の刑事・森野徹をバカリズムが演じる。

篠原とバカリズムという異色の2人がW主演、それもバディを組むというキャスティングには、やはり期待が高まる。篠原は1990年にダンスユニット・東京パフォーマンスドールに加入。1994年に小室哲哉プロデュースでシングル『恋しさとせつなさと心強さと』をリリースするなど、キャリアの初期においてはタレントとしての印象が強かった。だがその後、蜷川幸雄演出の舞台『ハムレット』(2001年)のオフィーリア役を演じたことをきっかけに俳優としての活動を増やしていく。

『カバチタレ!』(フジテレビ系)、『ムコ殿』(フジテレビ系)、『光とともに…~自閉症児を抱えて~』(日本テレビ系)、『アットホーム・ダッド』(カンテレ・フジテレビ系)など平成のヒットドラマには必ずといっていいほど名を連ねており、さまざまな表情で視聴者を楽しませてくれた。特に篠原の出演作で印象が強いのは、『anego』(日本テレビ系)や『ハケンの品格』(日本テレビ系)などのバリキャリぶりが光る作品だろう。ラブコメでは、『ラスト♡シンデレラ』(フジテレビ系)において年下男子との恋で世間をキュンキュンさせてくれた。視聴者の心を代弁するような“共感”できる芝居が持ち味の篠原。『イップス』では会話劇がキーとなることから、バカリズムとのテンポの良い掛け合いが見られることだろう。

また今回、篠原のバディ役となる森野を演じるのがバカリズムだ。バカリズムは1995年にお笑いコンビ・バカリズムを結成、だがその後、相方が脱退したことからピン芸人に。独特な世界観を持ったネタは多くの人にウケ、その才能はお笑いに留まらず脚本家、俳優としての活動にもつながっている。特に脚本家としては『素敵な選TAXI』(カンテレ・フジテレビ系)、『架空OL日記』(日本テレビ系)、『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)など多くの話題作を手がけてきた。バカリズム脚本の映画『ウェディング・ハイ』(2022年)では篠原が主演を務めたことから、2人はすでに“クレジット共演”を果たしたという縁もある。今回、『イップス』では脚本をオークラが担当し、バカリズムは役者に専念。絶妙な会話劇がキーとなる『イップス』では、オークラ脚本のテンポを篠原と共にどう表現してくれるのかが非常に楽しみだ。

実力派俳優のW主演という話題性はもちろん、そのスタッフ陣にも期待が集まる。脚本のオークラは、『今日からヒットマン』(テレビ朝日系)、『となりのナースエイド』(日本テレビ系)、そして今回の『イップス』で3クール続けて連ドラ脚本を担当することになる。『素敵な選TAXI』や『黒い十人の女』(日本テレビ系)で、バカリズムへの脚本協力をするなど親交があることから、この2人の化学反応がどうドラマに影響していくのかにも注目したい。加えて、演出は『素敵な選TAXI』の筧昌也である。篠原、バカリズムの“良さ”を最大限に引き出せる座組での制作だけあって、これはもう期待せずにはいられない。

“イップス”に陥った2人が絶妙な会話劇で魅せる本作。篠原とバカリズムの最強タッグで、春ドラマもますます盛り上がりを見せることだろう。

(文=Nana Numoto)

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