「住宅を購入しようと思えるのは年収900万円」20歳代の半数超えへ。資金計画のコツは

マイホームの購入費用の必要年収の相場はいくら?

マイホームを購入した人の多くは住宅ローンを利用しています。

そのためそろそろマイホームを購入したいと思っても、購入後に毎月住宅ローンを返済していけるのかどうかが不安な方が多いのではないでしょうか。

2024年1月29日に公表されたアンケート結果によると、20歳代の半数以上(52.7%)が住宅を購入しようと思える年収(世帯年収)は900万円と回答しています。

そこで本記事ではマイホームを購入しようと思える年収や、資金計画のコツを紹介したいと思います。

マイホームに関する金額面が気になる方は是非参考にしてください。

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住宅を購入しようと思えるのは年収いくらから?

マイホームを実際に購入した方の年収はいくらなのでしょうか。

国土交通省住宅局が令和5年(2023年)3月に発表した「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、世帯年収(税込)は分譲集合住宅を購入した人が最も高くて平均で960万円。

次いで注文住宅が801万円(三大都市圏では896万円)、分譲戸建住宅が750万円となっています。

※注文住宅の調査地域は全国、その他住宅は三大都市圏での調査

一方、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社が2023年12月13日~15日の3日間、20歳~29歳の男女を対象に行った調査の1000名の集計結果によると、20歳代の半数以上(52.7%)が住宅を購入しようと思える年収(世帯年収)は900万円と回答しています。(2022年11月に実施した前回調査では年収800万円と回答した方が54.2%)

また「800万円あれば」までの合計は48.1%、「700万円あれば」までの合計は39.1%となっていて、いずれも前回の調査結果を下回っています。

したがって20歳代の方の住宅を購入するためのハードルがより上がっている傾向があるといえ、実際に住宅を購入した人の年収よりも若干高いことがわかります。

また実際に住宅を購入した資金は、前述した「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、土地を購入した注文住宅新築世帯で平均5436万円、建て替え世帯で平均4487万円、分譲戸建住宅と分譲集合住宅の取得世帯がそれぞれ4214万円と5279万円になっています。

そして自己資金比率(購入資金に占める自己資金の比率)は、土地を購入した注文住宅新築世帯が30.6%、建て替え世帯が46.7%、分譲戸建住宅と分譲集合住宅の取得世帯がそれぞれ27.5%と42.8%です。

したがって購入する住宅によって若干違いがみられますが、ある程度の購入資金をあらかじめ用意していることがわかります。

マイホームの購入費用の必要年収の相場はいくら?

マイホームの購入費用は、年収の何倍程度が相場になるのでしょうか。

2023年8月4日付け住宅金融支援機構の「2022年度フラット35利用者調査」によると、マイホームの購入費用の年収倍率は、土地付注文住宅が最も高くて7.7倍になっており、以下分譲集合住宅(マンション)が7.2倍、注文住宅と分譲戸建住宅(建売住宅)が6.9倍となっています。

したがって概ね年収の7倍前後が相場といえるでしょう。

これらのことから、平均購入価格が5436万円の土地付注文住宅、4487万円の注文住宅、4214万円の分譲戸建住宅、5279万円の分譲集合住宅を購入するための年収はそれぞれ706万円、650万円、610万円、733万円程度になるといえます。

20歳代でマイホームを購入するメリットとデメリット

前述したSMBCコンシューマーファイナンス株式会社の調査では、20歳代の人が住宅を購入するためのハードルは非常に高くなっています。

現実的には20歳代での住宅購入はかなり難しいといえるでしょう。

しかし20歳代で住宅を取得した場合には、デメリットだけではなくさまざまなメリットが存在します。

20歳代でマイホームを購入するとどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

メリット1:長期ローンが組めるので、月々の返済額が少なくて済む

20歳代であれば、35年の住宅ローンを組んでも定年前に完済できる可能性が高くなります。併せて毎月の返済額を安く抑えることができます。

メリット2:ローンの返済が終了すれば家が自分の財産として手元に残る

賃貸住宅では何年家賃を支払い続けても手元には何も残りませんが、自分の家であればローンの返済が終われば自分の資産として手元に残ります。

メリット3:老後の資金の準備ができる

25歳で35年の住宅ローンを組んだ場合は、60歳で完済することができます。

したがって定年が65歳であれば、残りの5年間は老後に必要になる資金を貯蓄できます。

また20歳代の元気なうちにローンを組んで返済を始めた方が、病気になって返済ができなくなるリスクを回避することができます。

デメリット1:収入が少ないと借り入れ可能額が低くなる

20歳代では年収が低いため、金融機関の審査をクリアする借入可能額がどうしても低くなってしまいがちです。

また予算が少ないと、新築する住まいの間取りやデザインの自由度が低くなります。

デメリット2:返済期間が長くなると利息の負担が増える

20歳代では「35年返済」を選択して毎月の返済額をできるだけ少額にするケースが多いのですが、その場合には金利の負担は増えてしまいます。

したがって返済期間はできるだけ短くして利息の負担を減らすことが大切です。

20歳代での住宅取得のための資金計画

近年の住宅ローンには「頭金0円」でも利用できる商品があります。

自己資金が少ない20歳代にとっては非常にありがたい商品ですが、その分借入額が多くなって金利負担が増えてしまうので、最低でも住宅購入価格の20~25%程度の現金は用意したいものです。

マイホームを取得するためには、購入価格の20~25%以上の貯蓄があるのが望ましいでしょう。

そして住宅を購入する際には、住宅ローン手数料や保証料、不動産登記費用、不動産取得税、火災・地震保険料といった諸費用や新しい家具の購入費、引っ越し代等が必要になるため、建物の本体価格の1割程度を見込んでおく必要があるでしょう。

ほかにも毎月の生活費や子供の教育費のほか、建築後には固定資産税・都市計画税の支払いや建物のメンテナンス費用などが必要になるので、余裕をもって資金計画を立てることが大切になります。

まとめにかえて

将来住宅ローンを利用する予定であるのであれば、老後の暮らしを見据えた時にできるだけ若いうちに住宅ローンを組んだ方が有利といえます。

しかしその際にはある程度の現金が必要になり、最低でも住宅の購入価格の20~25%程度の貯蓄が欠かせません。

一般的に住宅ローンの頭金の目安は物件価格の約1割~2割といわれているので、貯蓄は全て使わずに、余裕を持った返済計画を立てることが重要です。

そして住宅ローンの年間返済額は、年収に対して返済負担率(年間返済額÷年収)を25%以内に抑えるようにすれば、万一不測の事態が発生した時にも対応することができるでしょう。

参考資料

  • 国土交通省住宅局「令和4年度住宅市場動向調査報告書」
  • SMBCコンシューマーファイナンス株式会社「20代の金銭感覚についての意識調査2024」
  • 住宅金融支援機構「2022年度フラット35利用者調査」

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