「恥辱だ!」国内メディアは大激怒。神童エンドリッキも不発でパリ五輪行きを逃したブラジルは、A代表含めて宿敵アルゼンチンと明暗くっきり【現地発】

オリンピックの男子サッカーにおいて、2016年リオ大会、2020年東京大会(実際の開催年は21年)と、2大会連続で金メダルを獲得したブラジルが、パリ五輪の南米予選であえなく敗退した。国内メディアは、「恥辱だ!」と激怒している。

2月11日に行なわれたファイナルステージ最終節のアルゼンチン戦、ブラジルは勝てば文句なし、引き分けでも出場権獲得が濃厚だった。しかし、五輪に出場するには勝つしかなかったアルゼンチン――監督は元名MFのハビエル・マスチェラーノ――の気迫に序盤から押されっぱなしで、0-0で迎えた78分に先制を許すと、ほとんど反撃できないままタイムアップの笛を聞いた。

パリ五輪南米予選は、出場枠「2」を争ってベネズエラで開催され、ファーストステージは5か国ずつ2グループに分かれて総当たりで対戦。ブラジルは3勝1敗のグループ首位となり、各グループ1位と2位の計4チームが参加するファイナルステージへと勝ち進んだ。

しかし、ファイナルステージ初戦でパラグアイに0-1で敗れ、苦しみながらも2戦目で地元ベネズエラを2-1で退けたが、最終節で宿敵の前に砕け散った。

タレントがいなかったわけではない。この夏のレアル・マドリー加入が決まっている17歳の “神童”エンドリッキ、チェルシーがパスを所有するボランチのアンドレイ・サントス(19歳)、この冬にナントからレンタル元のアーセナルに復帰したウイングのマルキーニョス(20歳)、フルミネンセで23年シーズンのコパ・リベルタドーレス優勝に貢献したFWジョン・ケネディ(21歳)ら有望株が揃っていた。

しかし、ファーストステージで2得点を挙げた頼りのエンドリッキは、ファイナルステージのパラグアイ戦でPKを外し、以降の2試合は厳しいマークに苦しみ不発。他の選手も存分に本領を発揮できなかった。

看過できないのは最近のアルゼンチンとの成績だ。A代表が昨年11月の2026年W杯南米予選で0-1の敗戦を喫し、U-17代表がやはり昨年11月のU-17W杯準々決勝で0-3と完敗。そしてU-23代表が今回の南米予選で敗れている。世代こそ違うが宿敵に屈辱の3連敗だ。22年ワールドカップ以降、明暗がくっきり分かれている。

ブラジルの救いは、タレントがいないわけではないこと。結果を出すためには、チーム戦術の徹底が必要不可欠だ。

文●沢田啓明

【著者プロフィール】
1986年にブラジル・サンパウロへ移り住み、以後、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。日本のフットボール専門誌、スポーツ紙、一般紙、ウェブサイトなどに寄稿しており、著書に『マラカナンの悲劇』、『情熱のブラジルサッカー』などがある。1955年、山口県出身。

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