「あとは僕の返事次第だった」自ら残留を望み、ウィザーズに忠誠を示したクーズマ「チーム再建に関わりたいと伝えた」<DUNKSHOOT>

ダラス・マーベリックスは、2月12日(日本時間13日、日付は以下同)にホームのアメリカン・エアラインズ・センターでワシントン・ウィザーズを112-104で撃破。今季最長の5連勝でウエスタン・カンファレンス8位の31勝23敗(勝率57.4%)とした。

マブズはルカ・ドンチッチが26得点、11リバウンド、15アシストのトリプルダブル、相棒のカイリー・アービングも26得点、7リバウンド、4アシスト、2ブロックと躍動。さらに8日にウィザーズから加入したダニエル・ギャフォードが古巣相手に16得点、17リバウンド、2スティール、5ブロックと大暴れ。

トレード・デッドラインにマブズはビッグマンのギャフォードと、万能フォワードのPJ・ワシントンを獲得して戦力増強に成功。2年ぶりのプレーオフ返り咲きに向けて視界良好と言っていいだろう。

もっとも、チームはデッドラインを前に獲得を狙っていた選手がおり、その筆頭がウィザーズのカイル・クーズマだった。フロントコートを強化すべく、プレーメーキングも可能な大型ウイングを求めていたチームにとって、206㎝・100㎏のクーズマは理想的な人材だったのだ。

13日に米スポーツ専門メディア『The Athletic』に公開された記事のなかで、クーズマはウィザーズ番記者のジョシュ・ロビンズへこう明かしていた。
「ダラスが僕のことを本当に欲しがっていた時期があったことは確かだ。(ウィザーズ球団社長のマイケル)ウィンガーがどんなトレードか僕に提示してくれた。そこで彼は僕を手放したくないと話し、あとは僕の返事次第だった。で、僕はこのチームに残りたい、再建に関わり続けていきたいと伝えたよ。あれがトレードを終わりにさせたんだ」

昨夏にウィザーズと4年1億200万ドルの大型契約を結んだクーズマは、ここまで52試合の出場で平均21.8点、6.3リバウンド、4.2アシストをマーク。

チームはオフに、主力のブラッドリー・ビールとクリスタス・ポルジンギスの放出に踏み切ったが、28歳のフォワードは高額契約を提示してくれたフロントに感謝し、再建プロセスの中心としてプレーを続けていきたい思いが強かったのだろう。

ここまでウィザーズはイースタン・カンファレンス14位の9勝44敗(勝率17.0%)と低迷。1月末にはウェス・アンセルドJr.ヘッドコーチ(HC)がフロントオフィスへ移行し、現在はAC(アシスタントコーチ)のブライアン・キーフがHC代行を務めており、シーズン終了後に新たな指揮官を招聘する予定だ。

今季のプレーオフ進出は絶望的な状況だが、ウィザーズはチームの将来を担ううえで重要な時期を迎えている。来季以降につなげるためにも、クーズマを中心に少しでも多くの白星を積み重ねてシーズンを終えたいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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