「市の土地」駐車場貸し出し利益”返還訴訟初弁論…被告・沼津市議側は和解で解決求める姿勢(地裁沼津支部)

「市の土地」を駐車場として貸し出し、利益を得ていたとして、静岡・沼津市が沼津市議を相手に約200万円の返還を求めた訴訟の第一回口頭弁論が、14日に地裁沼津支部で開かれ、沼津市議側は和解による解決を求める姿勢を示しました。

この裁判は、沼津市が現役の山下富美子市議会議員を相手取り、約200万円の不当な利益の返還をするよう求める訴えを起こしたものです。

この問題は、山下富美子市議が自宅に隣接する所有地を駐車場として貸し出していましたが、そのうち、2台分が「市の土地」だったものです。

そもそも、この土地の周辺一帯は山下市議の父親の土地でした。市は約30年前、橋の拡幅工事のため橋に沿って土地を取得。ただ、市は黄色の部分は第三者から購入したといい、さらに当時の「土地の売買契約書」も残っているといいます。

(沼津市道路建設課 長嶋 晃令 課長)

「工事するとき必要な土地を買うのに第三者が持っていたのでそこを買った。(市が)第三者から買った契約書がある。契約書に基づいて登記された登記簿がある」

一方、山下市議も、土地は第三者に売っていたとした上で、買い戻していたという認識があり 「登記漏れではないか」と主張しているのです。

(沼津市 山下 富美子 市議)

「市に提訴された土地は私のものです。証拠が見つかったわけですけど、市はこの事実に基づいて提訴を取り下げてほしい。提訴を取り下げないなら、こちらも提訴をします」

市はこれまで、山下市議に対し利益の返還を求めてきましたが、応じなかったため2023年、沼津市議会では…

(沼津市 総務部 杉山 康 部長)

「市有地を貸し駐車場として収益を得ていた相手方に対し所有権に基づく不当利得の返還及び利息の支払いを命ずる判決を求めるものであります」

市は「利益返還を求め山下市議を提訴する議案」を市議会に提出し、可決されました。

これを受け、2023年11月に市は山下市議に対し、2022年9月までの、約10年間で得た利益、約200万円の返還を求める訴えを起こしていました。

(沼津市 頼重 秀一 市長)

「提訴事態に関しては大変重く受け止めている。このことを放置しておくことはふさわしいくないと判断し、今回提訴した。提訴後は和解ということも可能性としてあると考えています」

そして迎えた、2月14日の第一回口頭弁論。被告の意見陳述で、山下市議は改めて「自分の土地」であると主張しましたが「訴訟で争う事が妥当な解決方法だとは言えない」とし、和解による解決を求めました。

裁判を終えた後、沼津市と山下市議の双方が取材に応じました。

(沼津市建設部 杉山 泰彦 部長)

「あそこは以前から話している通り、市の土地なので、相手方は自分の土地だ言っていますので、認識がまったく違うものだと思っています」

(沼津市 山下 富美子 市議)

「問題の土地の所有権は父にあり、それを相続した母、そして私にあるという事がはっきり主張できました。市長はいたずらに(裁判で)市民の血税を使うのではなく、陳述でもお願いしたんですが、協議をしていただきたいと話しました」

次回の第二回口頭弁論は、4月17日に開かれる予定です。

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