群馬県警で26年ぶりの懲戒処分ゼロ 対策強化が奏功

 群馬県警で2023年に懲戒処分を受けた職員はいなかったことが、県警のまとめ(暫定値)で分かった。一人もいないのは1997年以来26年ぶりという。22年の懲戒処分が7人に上り、対策を強化していた。一方、23年の懲戒未満の「監督上の措置」と呼ばれる内部処分は直近5年で最多の41人だった。監察課は「本来ゼロであるべきだ。引き続き対策を進めたい」としている。

 同課によると、監督上の措置の内訳は「不適切異性交際」11人、「不適切留置業務」7人、仕事を怠った「職務懈怠(けたい)」5人、「交通事故不申告等」「セクハラ」「パワハラ」各3人など。勤務時間外だったケースもあるが、深刻化すれば懲戒処分の対象となりかねない事案もあった。担当者は「まずは仕事上の非違事案を減らすよう努める」と話す。

 22年は強制わいせつや埼玉県青少年健全育成条例違反、同僚の車を盗んだ窃盗といった容疑で県警職員の逮捕が相次ぎ、懲戒処分は7人に上った。同年10月には太田署留置施設で死亡事案が発生。規定の見回りを怠るなどした7人を23年に監督上の措置とした。

 危機感を強めた県警は対策を強化。過去の事案を基に発生原因と組織や自身への悪影響を想像してみる検討会や、仕事に慣れた年代の若手職員に特化した研修を企画した。既存の取り組みは実効性の観点から内容を見直した。

 監督上の措置が多発したのは、対策によって意識が高まり積極的な相談や情報提供が増えた影響とも考えられる。ただ、時に命を危険にさらす警察の仕事では、処分を恐れて必要な指導がなされない事態を防ぐ方策も求められそうだ。

© 株式会社上毛新聞社