神戸市が1兆9270億円の2024年度当初予算案を発表 三宮再整備、若者や子育て世代の重点支援も

会見する神戸市の久元喜造市長=2024年2月14日午後、神戸市役所

神戸市は14日、総額1兆9270億円の2024年度当初予算案を発表した。一般会計は、前年度比3パーセント増の9057億円を計上。特別会計は市営住宅の事業費減少などによって1.3パーセント減の6711億円、企業会計は、新産業団地の整備などのため6.6パーセント増え3502億円となった。三宮の再整備や神戸空港の機能強化とともに、人口減少対策として若年層や子育て世代に重点を置き、さまざまな支援に力を入れる。

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三宮再整備としてJR三ノ宮駅南東に新たな中・長距離バスターミナル、駅南側に歩行者のための空間「三宮クロススクエア」をつくるほか、三ノ宮駅以外のJRの10駅、市営地下鉄14駅など計33駅周辺のリノベーションを行う。三宮南側のウォーターフロント地区では中突堤周辺の再整備、にぎわいづくりのためのライトアップ照明や分散型花火、「神戸アリーナ」開業に向けた準備を継続。国際化に伴う神戸空港の機能強化も拡充する。

子育て世代に対しては、公共交通機関で市内の高校に通う市内に住む高校生の定期代を無償化するほか、保育所に通っていない乳幼児を対象に保護者の就労要件に関わらず、保育所を利用できる制度を試行。学校現場では、不登校児童・生徒に向けて、すべての小中学校に校内サポートルームを整え、支援員を配置する。

一方、中小事業者の人材確保の支援として、市内在住の29歳以下、入社3年以内の社員を対象に、企業支給の住宅手当を一部助成。SDGsの取り組みとしては、水素燃料電池を搭載したハイブリッド型の新しい港務艇を建造する。また、下水処理場から再生したリンで作った肥料の生産拡大、個人・企業版ふるさと納税を受け入れる「神戸SDGs貢献基金」を新設する。

5月に神戸市で開かれる世界パラ陸上大会では選手、関係者を受け入れるとともに交流活動も推進。2025年に阪神・淡路大震災から30年を迎えるにあたって、防災の集いや市民フォーラムなどのイベントも開く。

会見で久元喜造市長は「少子高齢化、人口減少時代にしっかりと立ち向かうことができる大都市経営が必要。若年、子育て世代に神戸を選んでもらえるような対応をしていきたい」と強調。大阪府が行う高校授業料の完全無償化について、「周辺自治体の子育て世帯が流出し、好ましくない。授業料の無償化などは国の制度として一律に行ってほしい」と話した。予算案は15日から開かれる市議会に提案される。

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