国家公務員の平均給与「41万円」だが…「物価高なのに去年より給与減少」の厳しい実態

(※写真はイメージです/PIXTA)

令和5年発表の人事院『国家公務員給与等実態調査の結果』より、公務員の給与事情について見ていきます。

「国家公務員」平均年齢42.3歳、平均給与41万円

国家公務員はまず「一般職」と「特別職」に分かれます。特別職は大臣や副大臣、裁判官、国会職員、防衛省職員などを指します。一般職は給与法適用職員、検察官、行政執行法人職員の3種に分類されます。

日本を支える国家公務員のお給料事情。さっそく見ていきましょう。

令和5年発表の人事院『国家公務員給与等実態調査の結果』によると、全俸給表の適用人員は25万2,790人で、平均年齢は42.3歳となっています。「俸給」とは、民間企業の基本給にあたるもの。人事院に定められた俸給表によって決定されます。諸手当がついたものが「給与」です。

全俸給表適用人員の平均給与を高い順に見ていくと、事務次官、本府省局長、審議官等「102万9,685円」で、医師、歯科医師等 「83万9,896円」、政策情報分析官等「63万1,764円」、専門スタッフ職「60万1,518円」、研究員「56万2,418円」と続きます。一般行政職員等は「40万4,015円」で、全俸給表適用人員の平均は「41万2,747円」です。

一般行政職とは、俗にいう「お役所仕事」の人です。その人数は約13.9万人で、全体の過半数超え。平均年齢42.4歳。行政職俸給表(一)に基づき、給与が支給されます。

国家公務員のなかで一般行政職に次ぎ人数が多いのは、税務署職員。意外に思われるかもしれませんが、税務署職員は約5.1万人、全体の約20%を占めています。平均年齢42.0歳。平均給与額「42万8,330円」。給与額が一般行政職員のそれを上回ります。

税務署職員といえば「税務調査」が思い浮かびます。『令和4事務年度 所得税及び消費税調査等の状況』では所得税の調査等において、違法性があるものは33万8,000件だったことが報告されています。多忙を極めている税務署職員。高給であることも頷けるでしょうか。

一方、地方公務員の平均給与はいくらか?

なお全職員の平均給与額は「41万2,747円」は、令和4年発表の平均給与月額に比べて317円減少しています。一般職を主とした、行政職俸給表(一)適用職員の平均給与月額「40万4,015円」は、令和4年発表の平均給与月額に比べて1,034円減少しています。

令和4年発表の平均給与月額も、令和3年と比べて減少していたため、年々減少していることになります。

厚生労働省のレポート「令和4年 賃金構造基本調査」によると、民間の「部長」の平均賃金は58万6,200円(年齢52.7歳、勤続年数22.1年)、「課長」の平均賃金は48万6,900円(年齢48.8歳、勤続年数20.5年)、「係長」の平均賃金は36万9,000円(年齢45.4歳、勤続年数17.8年)です。給与額を高いと感じるでしょうか。少ないと感じるでしょうか。

ちなみに総務省『令和4年 地方公務員給与実態調査』の結果概要によると、地方公務員のうち都道府県職員(平均年齢42.6歳)の月額平均給料は「32万171円」。全職種の平均諸手当月額が8万7,211円で、平均給与月額は「41万3,202円」でした。

内閣官房公開の「モデル給与例」

内閣官房は下記のモデル給与例を示しています[図表]。一般職員の場合、年間4.5ヵ月分のボーナスが6月と12月の年2回に分けて支給されます。

[図表]モデル給与例(令和2年度) 内閣官房内閣人事局 令和3年版「国家公務員の給与」

高給取りで将来も安泰に見える国家公務員ですが、問題視されるのは、残業時間。政府調べでは、2021年12月~2022年2月にかけては、「過労死ライン」の月100時間を超えて残業していた職員が約3,000人いたことが問題となりました。もっとも残業時間が長かったのは、新型コロナウイルス感染症対策推進室の職員の「364時間」。年間の残業上限時間をわずか1ヵ月で超えました。

厚労省をはじめとした省庁でも長時間労働が問題視されています。

既定の給与は労働に見合った「対価」といえるのでしょうか。「働き、稼ぐこと」の意味が改めて問われています。

© 株式会社幻冬舎ゴールドオンライン