「自白後、虚実の入り混じった供述を続けること珍しくない」検察“自白の強要”に反論 取り調べの正当性を主張【袴田事件再審公判ドキュメント⑧】

1966年、旧静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」で、死刑が確定している袴田巖さん(87)の再審=やり直し裁判の8回目が2月14日、静岡地方裁判所で開かれ、検察側は弁護団が主張する自白の強要などについて反論しました。
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<袴田巖さんの姉ひで子さん(91)>
「5月の終わりまで何はともかく頑張って行かなきゃ、出席しなきゃ、と思っている」

91歳の誕生日を迎え、最初の公判となる姉・袴田ひで子さん。事件から57年、弟の無実を訴え続けてきました。早ければ、2024年夏ごろにも迎える判決の時に向けて、きょうも自宅から約70キロ離れた法廷に向かいます。

後半戦に入った再審公判。検察が第8回公判で焦点を当てたのが、取り調べの正当性です。検察は袴田さんが取り調べの中で凶器とされるくり小刀の購入した店や値段、店員についての供述をしていて、袴田さんが購入したことを裏付けていると主張。

弁護側は自白は強要されたものなどと指摘していますが、検察は「真犯人が自白後も、虚実の入り混じった供述を続けることは、決して珍しいことではない」などと改めて否定しました。

<滝澤悠希キャスター>
「また、証拠のねつ造についても反論です。弁護団は、出所をわからなくするため、袴田さんが盗んだとされる紙幣は、番号が不自然に焼け落ちていると指摘していましたが、検察側はさまざまな可能性が考えられ、憶測で語るのは難しいと反論しました」

このほか、弁護団が再審で主張した「複数犯説」にも異議を唱えます。弁護団は、その根拠として、被害者に縄で縛られた跡があると主張していましたが、検察側は、それらは火事によるやけどの損傷部分で「縄の跡」は存在しないと反論しました。

一方の弁護団は、侵入経路と逃走経路なども捜査機関が強要した自白をもとに作り上げられた証拠と訴えました。

<袴田さんの姉・ひで子さん(91)>
「午前中(弁護団)は結構な裁判でした午後は眠くなるような裁判で検察は古いものを読んでいる感じで何であんな古いものを読んでいるのかな迫力がありませんでした」

<袴田弁護団 小川秀世弁護士>
「曖昧なまま検察は反論しているだけで、刑事裁判において何も立証できていない」

15日の審理では、袴田さんの犯行着衣とされた「5点の衣類」に残る血痕の赤みについて、検察側が新証拠を展開する見込みで、弁護側も「3月の証人尋問前の最大のヤマ場」とみています。

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