子どもの主体性を伸ばしたのは教員同士の「対話」でした 支え合う関係が「心理的安全性」に 沖縄・うるま市立中原小

「対話の時間」で意見を交わす中原小の教員たち(提供)

 うるま市立中原小学校で取り組む教員間の「対話の時間」が成果を上げている。月に1回程度、約60人いる教員が毎回メンバーを変えながら5~6人のチームに分かれ、担当学年や年齢に関係なく意見を交わし、課題やアイデアなどを共有。教員同士の支え合いの風土を生み、子どもたちの主体性を伸ばすことにもつなげている。この取り組みは学級運営など学校全体の心理的安全性づくりにつながったと評価され、民間会社が主催する「心理的安全性アワード2023」で3位相当のシルバーリングを受賞した。(社会部・普久原茜)

 「対話の時間」は、前任の校長がコロナ禍によって人と人とのつながりが弱くなっていることを課題と捉え、協働的組織風土の醸成を目的に22年度から始められた。これまで月に1度実施していた全体会議をやめ、この取り組みに時間を充てている。「NPO法人学校の話をしよう」がファシリテーターとして協力している。

 「自分の強みを知ろう」「子どもたちの活躍を語ろう」など毎回異なるテーマに沿って意見が交わされ、悩みや考え、経験なども共有。担当学年の域を超えて話すため、通常はコミュニケーションを取る機会が少ない教員との交流も深まっている。その結果、日々の業務や授業作りについても、担当学年にかかわらず相談し合える風土ができた。

 大島彩子教諭(36)は「やりたいことにチャレンジしやすい環境になっている」と効果を実感。教員同士の日常的なつながりが強まったことで、学校教育でありがちな前例踏襲や失敗をためらう風土がなくなり、教員のやる気をみんなで後押しする雰囲気が生まれているという。

 効果は子どもたちにも波及している。「まずはやってみよう」という気持ちを大切にする教育方針が共通し、子どもたちの主体性が育っている。同校ではアイデアを企画書に書いていつでも提出できる仕組みがあり、「ハロウィーンで仮装して登校したい」という企画など実際に採用された。自分たちでルールを決めるなど、子どもたちの成長も見られているという。

 同校では現在、精神疾患で休職している教員はゼロだ。教員1年目の徳盛碧教諭(23)も「職員室は心落ち着く場所。子どもとの接し方や保護者の対応など先輩たちから学べていることが多い」と安心感を持って働いている。

 主導する松田健史校長は「先生も子どもたちも行くのが楽しみと思える学校づくりが大切」と取り組みの意義を語り、「教員は赴任する学校も変わっていく。中原小だけでなく、先生たちが安心して働ける職場が増えるといい」と普及を期待した。

児童の提案が採用され、ハロウィーンの日に仮装で登校する児童ら(提供)

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