快晴・黄砂・ひょうの観測なくなる 気象の人の目による「目視観測」終了へ 原爆投下や枕崎台風襲来でも欠かさず観測 140年以上の歴史に幕 広島など全国9つの気象台 

気象観測の大きな転換点 「目視観測」終了を発表 全国9つの気象台

明治時代から140年以上続く広島の気象観測が大きな時代の転換点を迎えます。広島地方気象台は、人が目で見て天気を判断する「目視観測」を来月で終了すると発表しました。

広島市中区にある広島地方気象台です。建物の屋上にやってきたのは気象台の職員。3時間ごとに行っている定時の気象観測です。

広島地方気象台 坂原幹敏 技術専門官(観測歴20年以上)
「天気的には『薄曇』です。上層の雲で、雨を降らせるような雲は見ての通りありません。」

現在、気象台では午前0時を除く1日に7回、3時間ごとに「天気」や「雲の量や形」、「視程(水平方向の見通し)」などについて、職員が目で見て判断する「目視観測」を行っています。

広島地方気象台 坂原幹敏 技術専門官
「普段の生活でも空の様子が気になる。長年のくせで見ている。きょうはどうなのって予報を見ながら。」
「天気の流れを知るには、実際に衛星画像の雲だけでは、わかりにくい面もあります。」

気象庁は、広島など地方の拠点にある9つの気象台で、「目視観測」を3月26日で終了すると発表しました。

原爆投下の日も… 明治時代から途絶えなかった「人の目による観測」

145年前の明治12年、現在の広島地方気象台の前身である「広島測候所」が設置された時から続く「目視観測」。

原爆の投下やその直後に広島を襲った「枕崎台風」といった厳しい状況でも観測が途絶えることはありませんでした。

一方で、1970年代後半になると、全国にアメダス観測網が整備され、気象台でも「気温」や「降水量」「風」などの観測は自動化されました。

最近は気象レーダーや気象衛星など観測技術が飛躍的に向上したことに、今でも目視で続けられいた「天気」や「雲」などの観測も、人によらない「自動判別」が可能となりました。

気象庁は、2019年に関東甲信地方の気象台で行っていた目視観測を終了させたのを皮切りに、2020年には気象官署を除く全国39か所の地方気象台で目視観測を終了。

そして今回、札幌・仙台・名古屋・新潟・広島・高松・福岡・鹿児島・那覇の全国9つの気象官署で行っていた「目視観測」を3月26日に終了します。

これで気象台の職員が毎日定時に目視観測を行うのは東京と大阪だけになります。

広島地方気象台 坂原幹敏 技術専門官(観測歴20年以上)
「目で見てわかる予測資料が昔は重要だったんですけど、これだけ気象庁の本庁から情報が出て、観測機器やリモートセンシングの技術が上がってる中では、目視観測の終了は仕方がないいたしかたない。ちょっとさみしいところはありますね。」

広島で140年以上続いてきた人の目による観測の終了…。

気象観測の自動化に伴って判別が難しい「快晴」や「薄曇」などの発表がなくなるほか、「黄砂」や「ひょう」、「にじ(虹)」など、およそ30項目の観測が終了します。

中根夕希キャスター
「140年以上、目視で観測してこられた人のデータが蓄積されて、最新の観測技術につながってると思うので、ありがとうございましたという気持ちになりますね。」

青山高治キャスター
「目視観測の終了によって30の項目が終了するということで、『快晴』『薄曇』とか、こういった表現が観測上で発表されなくなるのは、日本語として寂しいかなと思う所もあるが、霜や結氷、冠雪などは、シーズンの最初のみは観測するということで、これまで通り『初霜』『初氷』『初冠雪』は発表されるのでこのあたりは季節を感じたいですね。」

※動画ニュースの中で3月26日に目視観測が終了する地点を8か所とお伝えしていますが、正しくは9か所です。

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