ダイリク 2024-25年秋冬コレクション - 知らなかった世界を知ったその後、変化を出発点に

ダイリク(DAIRIKU)は、2024-25年秋冬コレクションを2024年2月14日(水)に国立競技場内 駐車場にて発表した。

夜な夜な観たカルト映画、観終わった後に起きた自分の変化

今季のクリエーションは、デザイナー・岡本大陸自身の経験が出発点になっている。入ってはいけないと言われた部屋にそっと入り、なんとなく観てはいけなさそうな映画のビデオを再生した時の記憶。全て観終わったあと、知らなかった世界を“知ってしまった”自分の変化の実感を、映画『ファイト・クラブ』や『ロッキー・ホラー・ショー』、『ファントム・オブ・パラダイス』、『ドニー・ダーコ』など、夜な夜な観たカルト映画のモチーフを通してコレクションに投影している。

“変化”を表現する新たな要素

“知る前”と“知ってしまった後”の自身の変化を表現するため、今までのダイリクのコレクションでは提示してこなかったようなアイテムをあえて登場させている。中でも散見されたのは、オールインワン。ルーズに着崩したルックで披露されたスカジャンのオールインワンは、従来は別々に着るものとして定着しているアイテムをあえて一体化させたいと考えたことから生み出された1着だ。

また、黒1色で仕立てたテーラードスタイルのオールインワンや、MA-1をベースにしたハーフパンツのオールインワンなど、目を引く佇まいのオールインワンが展開されている。

加えて、ロングコートの極端なマキシ丈や、コートやバッグなどに度々用いられた抽象的な花柄のグラフィックなども、今季新たにダイリクが取り入れた要素。ダイリクのコアであるアメカジスタイルは軸にしつつも、多彩なエッセンスが加わることで、また新たに独特のエレガントさやアーティスティックな雰囲気が生まれていたのが印象的だ。

秘められたセンシュアルさ

なんとなく観てはいけない、線を踏み越えてはいけない、と奥に秘められたものを手に取る時のスリリングな感覚は、センシュアルなディテールにも落とし込まれている。大胆なカットアウトを施したボンデージパンツをはじめ、ファスナーを開くとざっくりとスリットが開き肌の見えるハーフパンツや、脚にぴったり添うニーハイブーツのような折り返しのデニムパンツなどがその好例だ。

アンチテーゼを代弁する“アンチヒーロー”に着目

会場中央に荒廃した車をセッティングした今シーズンは、同じ会場で発表された前シーズンと交差しながらも、また異なる世界観を提示しているのもポイントだ。“ヒーロー”をテーマにしていた前シーズンとは対照的に、今回は表立って言い辛いことも代わりに表明してくれるアンチテーゼの代弁者として“アンチヒーロー”にフォーカスを当てている。たとえば『ファイト・クラブ』のタイラー・ダーデンを彷彿させる、赤いレザージャケットやボリューミーなファーのコートが目を引いた。

また、ボンデージパンツに合わせたニットには、『ドニー・ダーコ』のシンボルである銀色うさぎをあしらい、前後どちらを前にしても着られるベロアのガウンには『ロッキー・ホラー・ショー』のフランク・フルター博士の腕に刻まれたタトゥーのハートモチーフをスパンコール刺繍で表現。また、フランク・フルター博士を思わせる、ふんわりとしたフェザーストールを巻いたルックも複数登場している。

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