『となりのナースエイド』衝撃的な展開で始まった後半戦 心優しい晴美が見せた裏の顔

ドラマ『となりのナースエイド』(日本テレビ系)が早くも後半戦に突入。第6話はそのことを強く実感させる衝撃展開で幕を閉じる。

第6話は星嶺医大に通う晴美(水野美紀)の息子・照希(兵頭功海)が登場する、いわゆる晴美の主役回。第5話では20歳になろうとする息子にGPSをつけるという過保護な一面が露呈し、澪(川栄李奈)を相手に早口で取り乱すというシーンがあったが、そのことが照希の口から「干渉」という言葉で拒絶されることへと繋がっていく。

照希が母を拒み、「解放されたい」「自由になりたい」と退学届を出したのは、星嶺医大への裏口入学について晴美が話していたのを聞いてしまったからだった。父を失った喪失感から母は自分に依存しているのだと。そこに重なる照希の海綿状血管腫の発症。脳の血管の奇形の一種で、出血を繰り返す難病であり、脳に傷がつけば言語障害の後遺症が残る難しい手術だ。

澪や相馬(矢本悠馬)、夏芽(吉住)による晴美のすごいところを照希に見せようとする作戦は、澪らの下手な芝居によって見破られてしまう(吉住のコントがかった芝居が、クセが強すぎる)。しかし、照希が病棟内で自然と目の当たりにするのは、ナースエイドとして朝早くから出勤し、患者から信頼されている母の姿。優しく周りに対して気を遣う晴美は「みんなの笑顔が見たくて」とその原動力を笑顔で話す。医者と看護師をサポートしながら、その誰よりも近い場所で患者に寄り添うナースエイドとして手本となる存在だ。

やがて照希は自身の実力で星嶺医大に合格し、裏口入学詐欺に遭っていたことが明らかになる。それでも母からの束縛を主張する照希の本心には、母を解放させてあげたいという思いがあった。瞳から一筋の涙を流す息子に、戸惑う晴美。「母さんにはもっと自由に自分の幸せのために生きてほしいんだよ」という真っ直ぐな言葉に、「私はあなたのこと考えてる時が一番幸せなんだから」と晴美は涙を拭いながら伝える。干渉し合えていることもまた家族として幸せなことだ。姉を失った澪が言う「家族って当たり前にあるものじゃないから」という言葉には重みがある。

手術を受けて、今度は素直に母を支えることを誓った照希。覚醒下海綿状血管腫摘出の手術が始まる。覚醒状態にある患者と言語聴覚士が会話を行いながら、執刀医が摘出する部分に電気刺激を与え、それを摘出しても会話ができるのか、できないのか、言語中枢の位置を把握し、そこを傷つけないように海綿状血管腫を摘出していく。手術は無事成功。だが照希はうわごとのように「言わないでください。照希の裏口入学のことは」と話し続ける。大河(高杉真宙)が言うには、電気刺激を受けて、脳が活性化され、過去に聞いた人の会話を繰り返しているのかもしれないとのこと。

つまり、照希は昔に聞いてしまった母の電話口での会話を再現しているということになり、その後に続くのが、「分かりました。桜庭澪を監視すればいいんですね」というゾッとする一言である。

『となりのナースエイド』では愚直な息子思いの母を演じてきた水野美紀。今期は『離婚しない男ーサレ夫と悪嫁の騙し愛ー』(テレビ朝日系)に出演し、「~ございやす」「まぐわっている」といった強烈ワードが飛び出す離婚弁護士・財田トキ子で晴美とのギャップを際立たせているが、本当に晴美が澪を監視していたとなれば、我々が見ていた心優しいナースエイドとしての姿とは別の裏の顔があるということになる。

澪の部屋に侵入した犯人はいまだに明らかになっておらず、次回晴美に澪の監視を命令していた人物が分かれば、唯(成海璃子)の死の真相に近づくだろう。
(文=渡辺彰浩)_

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