熊谷組・上田真次期社長が会見/“稼ぐ力”磨き成長を、収益源多様化へ周辺事業強化

熊谷組の次期社長に4月1日付で就任する上田真取締役兼専務執行役員が13日に東京都内で会見し、社長就任後の方針などを明らかにした。4月にスタートする新中期経営計画を見据え、組織改革を含め経営体制を刷新。上田次期社長は「櫻野泰則社長指揮の下で注力してきた『選ばれる企業となる力』『稼ぐ力』を高める施策に磨きをかけ、建設サービス業の担い手として社業の発展に尽力したい」と抱負を語った。
新中期経営計画では「コアとなる土木、建築事業の強化に加え、周辺事業の新たな取り組みを加速し収益源の多様化を目指す」ことを柱に据える。住友林業など他社との連携強化で差別化を図るなど、変化する社会や顧客のニーズにも的確に対応していく。
物価高騰や労務不足、時間外労働上限規制への対応など山積する課題に真摯(しんし)に取り組み、「長年の伝統と幾多の困難を乗り越え成長してきた経験や技術力、社員の力」を武器に、「先頭に立って新たな歴史を切り開いていく」と意欲を見せた。
“稼ぐ力”を高めるため4月から組織改革も実行する。土木事業本部を改組し統括部制を導入。生産、営業、技術、設計の4部門が効率的に連携、機能できる体制を整える。建築事業本部は周辺事業の強化策として「不動産分野の位置付けを高める」方針で、営業統括部傘下の都市開発部を営業部門から独立させ都市開発統轄部を新設。安全・品質管理も独立部署に格上げし一層の強化を図る。
上田次期社長は建築畑を歩み現場経験も豊富。“稼ぐ力”の根源として「現場社員が誇りとやりがいを持って働ける環境づくりや、施工体制維持に向けた協力会社などとの連携を強化していく」考えを示した。
取締役会長に就任する櫻野社長は「直近3年はコロナ禍や物価高騰など逆風下でも持続的成長に向け尽力してきた」と6年間を振り返り、「新中期経営計画を着実に実行し、より高みを目指すには新たな強いリーダーが必要と感じた」と交代理由を説明。上田次期社長には「幅広い知識と豊富な実務経験を持ち人望も厚い。変化の時代に必要な先を読む力や決断力、バランスの良さも備え、後任にふさわしい人物だ」と経営手腕に期待を寄せた。

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