「生活保護」を受けた場合、年収いくら位の生活レベルになる?条件や受給額を教えてください!

住んでいる地域別の生活保護費の上限

生活保護は、生活が困窮している人に対して、経済的な支援を行う国の制度ですが、誰しもが生活保護を受けられるわけではありません。

本記事では、生活保護を受けるための条件や年収目安について紹介していきます。

地域による支給額の一例も紹介しているので、「生活が苦しくて困っている」「生活保護を申請しようか迷っている」という方は参考にしてみてください。

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生活保護を受けるための条件

冒頭でもお伝えしたように、「生活保護」は生活に困っている人に対して、最低限度の生活の保障と自立助長のサポートをすることを目的とした制度を指します。

しかし、生活が困窮しているというだけで生活保護を受けられるわけではなく、一定の条件を満たしている必要があります。

生活保護の要件として、主に下記4つが挙げられます。

  • 資産の活用:預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があるか
  • 能力の活用:働くことが可能か
  • あらゆるものの活用:年金や手当など他の制度で給付を受けることができるか
  • 扶養義務者の扶養:親族等から援助を受けることができるか

上記4つに1つでも該当する場合は、生活保護を受けることができません。

たとえば、自動車や家を所有している場合、それらは資産となるため生活費を捻出するための「資産の活用」として原則処分する必要があります。

反対に上記のような手段を活用しても、世帯の収入が定められた基準で計算される最低生活費に満たない場合にのみ生活保護が適用されます。

なお、「最低生活費」とは、健康で文化的な最低限度の生活を送るために必要な費用のことを指します。

生活保護を受けられる年収目安は?

生活保護を受けるための要件の1つに「能力の活用(働くことが可能か)」があり、世帯収入が最低生活費以下であるかどうかは、生活保護申請時に重要視されます。

では、具体的にどのくらいの年収であれば、生活保護が受けられるのでしょうか。

結論からお伝えすると、生活保護を受けられる年収目安は、世帯構成や地域によって異なります。

生活保護を受ける場合、世帯構成や地域などの生活状況に基づいて生活保護費が定められており、最低生活費と収入の差額が「生活保護費」として受け取れます。

【図表1】

つまり「世帯収入が最低生活費以下」であれば、生活保護を受けられる可能性が高いです。

生活保護費は地域によって異なりますが、一例として東京23区の場合、最低生活費が月に約13万円であるため、年収が156万円以下であれば、その差額を生活保護費として受け取れます。

最低生活費の計算方法

前章でもお伝えしたように、生活保護として支給される「生活保護費」は、最低生活費から収入を差し引いた金額となります。

最低生活費の計算方法は下記のとおりです。

出所:厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)」

最低生活認定額=A+B+C+D+E+F

  • A:「生活扶助基準(第1類+第2類)+特例加算(1人当たり月額1000)+生活扶助本体における経過的加算
  • B:加算額
  • C:住宅扶助基準
  • D:教育扶助基準、高等学校等修学費
  • E:介護扶助基準
  • F:医療扶助基準

基本的には「生活扶助」と「住宅扶助」の2つを元に最低生活費が定められており、世帯状況に応じて教育扶助や介護扶助なども加算されます。

最低生活費は地域によって異なる

生活保護は最低生活費を元に支給額が決定しますが、最低生活費の基準は地域によって異なり、基本的に地方よりも都市部のほうが最低生活費が高い傾向にあります。

これは地域間の「生活水準の差」を考慮したものであり、地域によって「1級地-1」から「3級地-2」までの生活保護基準が設けられています。

1級地には「東京23区」や「横浜市」「大阪市」などの都市部が該当し、2級地や3級地には地方が割り振られています。

一例として、50歳 単身世帯男性の「1級地〜3級地」における、最低生活費は下記のとおりです。

級地別 最低生活費の例
  • 東京都23区(1級地-1):12万9420円
  • 福岡県久留米市(2級地-1):10万4430円
  • 山形県米沢市(3級地-1):9万8080円

上記からもわかるように、1級地が最も最低生活費が高く、2級、3級と等級が下がるにつれて少額になっていきます。

このように、地域によって最低生活費に大きな差が生じているため、自分の地域の最低生活費がしりたい場合は、お住まいの福祉事務所の生活保護担当に相談してみると良いでしょう。

お住まいの地域の最低生活費を算出してみよう

本記事では、生活保護を受けるための条件や年収目安について紹介していきました。

生活保護は一定基準を満たした場合、誰しもが受けられる国の制度です。

生活保護を受ける場合、生活保護費が支給されますが、その額は世帯の収入や最低生活費によって変わるため、本記事を参考にお住まいの地域の最低生活費を算出し、ご自身の収入から「生活保護費」がどのくらいかを確認してみると良いでしょう。

もし、収入が最低生活費を下回る場合は、生活保護を受けられる可能性があるため、気になる方はお住まいの福祉事務所に問い合わせをしてみることをおすすめします。

参考資料

  • 厚生労働省「生活保護制度」
  • 厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)」
  • 厚生労働省「住宅扶助について」
  • 厚生労働省「級地区分」

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