島根県の宍道湖で魚大量死の謎 強風の影響で酸欠の水が表層に上昇か

宍道湖の岸で魚を回収する担当者=2023年11月、島根県出雲市(出雲河川事務所提供)

 島根県の中海と宍道湖で昨秋、死んだ魚が大量に水面に浮かんでいるのが見つかった。水質に異常はなく、酸素が乏しい湖底の水が強風の影響で表層付近に上昇したことが原因とみられる。国土交通省出雲河川事務所は「湖や河川で魚の大量死を見つけたら汚染を疑って速やかに連絡してほしいが、自然現象の可能性があることも知ってほしい」としている。(共同通信=鈴木人生記者、白神直弥記者)

 中海と宍道湖はいずれも海水と淡水が混ざった「汽水湖」で、面積はそれぞれ全国2位と3位。出雲河川事務所によると、昨年11月8日、河川巡視員が中海の水面にヒイラギやチヌが浮いているのを発見。翌日には宍道湖でもスズキやウナギが死んでいた。その後、出雲河川事務所が回収した死骸は数百匹に上ったが、化学物質などによる汚染は確認されなかった。

 宍道湖では、海に通じる中海から流れ込む塩分濃度が高い水は重く、下層にたまる。表層付近には濃度が低い水が分布し、2層となって循環しにくくなる。表層は大気に接しており酸素濃度が高いが、湖底付近は欠乏する。

 11月6日に風速10メートル以上の強風が発生。風の力が湖の表層に加わると、風下では岸に沿って水が下方に押し込まれ、その分風上側の岸では湖底の水が水面方向へ移動する。表層付近の魚は逃げ場を失って呼吸できなくなり死に至るという。

中海の岸で魚を回収する担当者=2023年11月、松江市(出雲河川事務所提供)
魚が大量死した原因(イメージ)

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