永世中立国スイス、防衛予算を長期拡充へ 安全保障リスク増大で

[チューリヒ 14日 ロイター] - 永世中立国のスイスが14日、長期的に防衛予算を拡充する方針を明らかにした。

ロシアのウクライナ侵攻後、欧州諸国で安全保障を巡る懸念が高まっている様子が改めて浮き彫りになった。米大統領選の共和党候補指名争いで優位に立つトランプ前大統領が、防衛予算を十分に確保できない北大西洋条約機構(NATO)加盟国はロシアに攻撃されても助けないと発言していることも、そうした不安を高めている可能性がある。

スイスのアムヘルト大統領(国防相兼任)は、ウクライナ戦争が始まる前の計画に比べて、2035年時点で使える防衛予算が約200億スイスフラン(225億8000万ドル)上積みされると説明した。23年の防衛装備に充当された予算は19億フランだった。

アムヘルト氏は、スイス国防軍は冷戦終結後のいわゆる「平和の配当」を受けてこれまでずっと予算圧縮で弱体化してきたと指摘した。

しかし「欧州大陸における戦争や中東の紛争などを踏まえると、現在の安全保障政策を巡る環境は従来と違ってきたのは明らかだ」と述べ、非常に多くの危機が存在すると強調。最新の防衛予算計画には、ウクライナ戦争で得られた教訓も織り込んでいる面があると付け加えた。

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