豪失業率2年ぶり高水準、雇用の伸び低調 市場は9月利下げ織り込む

Stella Qiu

[シドニー 15日 ロイター] - 豪連邦統計局が15日発表した1月の雇用統計は就業者数の伸びが市場予想を大幅に下回り、失業率は2年ぶりの高水準となった。景気減速や低調な消費者需要を背景に労働需給が緩んでいることが改めて示された。

スワップ市場は8月に最初の利下げが実施される可能性を80%と予想。9月までの利下げが完全に織り込まれ、従来の11月から前倒しされた。年内に見込まれる利下げ幅は28ベーシスポイント(bp)から39bpに拡大した。

豪ドルは1豪ドル=0.6483米ドルまで小幅に下落し、最近の3カ月ぶり安値0.6443米ドルに向かった。3年物国債先物は10ティック上昇し96.250となった。

1月の就業者数は500人増にとどまった。市場では3万人程度の増加が見込まれていた。昨年12月は6万2800人減少しており、このところ振れが大きくなっている。

フルタイムの就業者数は1万1100人増。前月は減少していた。

失業率は4.1%と市場予想の4.0%を上回り、2022年1月以来の高水準となった。労働参加率は横ばいの66.8%で、労働時間は2.5%減少した。

オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアのマクロ経済予測担当責任者、ショーン・ラングケーキ氏は「労働市場のスラック(需給の緩み)が進行している。政策立案者は見通しへの懸念をやや強めそうだ」と述べた。

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は失業率が今年6月までに4.2%に上昇すると予測している。

チャーマーズ財務相は今回の結果について、金利上昇、インフレの持続、世界経済の不確実性に伴う「避けられない結果」だと述べた。

一部アナリストは2月の回復を予想。また、統計局の労働統計責任者は、1月は夏の休暇シーズンを終えて仕事を始める時期だとして季節的な要因に言及。「1月は失業者が増える一方、向こう4週間内に仕事を始める見通しの失業者も多かった」と述べた。

クレジターウォッチのチーフエコノミスト、アンネケ・トンプソン氏は、失業率は今後6カ月間は上昇傾向をたどると予想。「借り手にとって朗報なのは、このような事態が発生した場合、豪中銀は雇用水準を守るためインフレ率が目標レンジに戻る前に利下げする可能性が高くなることだ」と語った。

© ロイター