「生活保護をもらいながら借金して起業する」という知人。これっていいのでしょうか?

生活保護受給者の生活上の義務とは?

生活保護は「活用できる資産を所有していないこと」「ほかに給付を受けられる制度を利用できないこと」などの要件を満たした人が利用できる制度です。

すべての資産や能力を活用しても収入が最低生活費を下回っている場合に、必要な保護費が支給されます。

生活保護受給者には、守らなければならない生活上の義務があるとされています。

まず、受け取った保護費は最低限の生活を維持するために使い、生活の無駄をなくすよう努めなければなりません。

そのほかにも「活用できるものは生活費に充てること」「働ける状況にある人は能力に応じて働くこと」なども義務づけられています。

生活保護を受けながら借金することは認められるのか?

伊賀市「生活保護受給者の権利と義務について」によると、生活保護受給者が借金することは認めらないとされています。

厚生労働省によると、生活保護の種類には生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類があり、必要に応じて支給されます。

例えば、生活扶助は食費や被服費・光熱費など日常生活に必要な費用、住宅扶助はアパートなどの家賃に充てる費用として支給されるものです。どの扶助も「実費」もしくは「定められた基準額」が支給されます。

これらの扶助の種類に「借金」は該当しないことから、借金のために使えるお金は生活保護制度では支給されないことが分かります。

義務違反をしてしまったらどうなる?

生活保護を受給していながら借金している場合は、義務違反に該当します。

不正に申請して保護を受けた場合は、受け取った保護費の返還を求められる可能性があるため、注意が必要です。

また、事実と異なる申請をして保護費を受け取った場合は、生活保護法により3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることもあるようです。

生活保護をもらいながらの借金は認められない

生活保護受給者には生活上の義務があり、その義務に違反すると罰則が科せられることもあることが分かりました。

守るべき義務の一つに「生活保護を受給しながら借金することはできない」とあるように、たとえ起業が目的だとしても、借金することは認められません。

生活保護受給中は自身の健康を保持するとともに、生活の維持・向上に努めることを最優先させる必要があるのです。

そのため、知人に「生活保護をもらいながら借金して起業しようとしている人がいる」という場合、その実現は難しいと考えられます。

出典

厚生労働省 生活保護・福祉一般 生活保護制度
伊賀市 生活保護受給者の権利と義務について
[デジタル庁e-GOV法令検索 生活保護法 (昭和二十五年法律第百四十四号)
第十二章 費用 (費用等の徴収)第七十八条
第十三章 雑則 (罰則)第八十五条](https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=325AC0000000144)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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