角閃石岩製の鋳型発見 吉野ケ里遺跡で初 青銅器生産で「重要な発見」

昨年9月に出土したものと同一個体である蛇紋岩製の青銅器鋳造の鋳型(右)、左は角閃石岩製の鋳型(佐賀県提供)

 国指定特別史跡・吉野ケ里遺跡(神埼市郡)の北墳丘墓西側にある「謎のエリア」の発掘調査で、佐賀県は14日、国内最古級とみられる弥生時代中期前半(前2世紀頃)の青銅器の鋳型2点が見つかったと発表した。いずれも両面とも鋳型に加工され、このうち1点は吉野ケ里初出土となる角閃石岩(かくせんせきがん)製だった。残る1点は蛇紋岩製で、昨年9月の出土品と同一個体と判明。県は「初期の青銅器生産の様相を考える上で重要な発見」と指摘する。

 県文化課によると、前回出土した場所の近くで見つかった。角閃石岩製は長さ9.85センチ、幅2.5センチ、厚さ1.9センチ、重さ69.8グラム。矛は特定できたが、もう片面は剣の可能性が高い。角閃石岩製は、小城市の土生遺跡に続く県内2例目の発見になる。

 蛇紋岩の鋳型は長さ7.5センチ、幅3.2センチ、厚さ1.6センチ、重さ59.5グラム。矛、剣の刃部という。石材の加工法、サイズなどから、昨年9月に見つかった根元部分の袋、元部の鋳型と同じ個体と判断した。今回を含めて吉野ケ里では鋳型10点が出土したことになる。

 県文化課は「今回見つかった二つの石材は、当時の青銅器鋳造の先進地だった朝鮮半島で使われた滑石(かっせき)と質感が似ている。産出地は不明だが、当時の製作者があえて求めた可能性がある」と指摘する。

 吉野ケ里歴史公園内の展示室で15日から、鋳型を無料公開する。入園料や駐車料は必要。(大田浩司)

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