スポーツアパレル市場に関する調査を実施(2023年)~2023年のスポーツアパレル国内市場規模は前年比104.3%の6,131億1,000万円の見込、アウトドアウエアが市場全体の成長に大きく寄与~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は国内スポーツアパレル市場を調査し、競技カテゴリー別の市場規模や、参入メーカーや流通の動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2023年のスポーツアパレル国内市場規模は、メーカー国内出荷金額ベースで前年比104.3%の6,131億1,000万円を見込む。

前年の2022年においてもコロナ禍からの回復が進んでいたものの、学校の部活動やチーム単位でのスポーツの活動時間の制限・短縮等、一部影響が残るとともに、各スポーツの試合数や大会数などもコロナ前の水準にまでは達していなかった。しかし、2023年はこのようなスポーツの機会に対するコロナ禍の影響がほぼなくなり、スポーツへの参加者数が前年からより一層増え、スポーツアパレルの需要も増大した。

さらに、2022年10月の入国制限緩和以降、外国人訪日観光客が増えており、特に都心部の店舗などではインバウンド客が明らかに増えて売上が底上げされたという事例もあり、インバウンド需要の回復もマーケットを押し上げた。

近年、同市場が悩まされている季節的な要因、特に秋以降に気温が下がらず秋・冬物の売れ行きが厳しくなるという事象が2023年も見られ、各カテゴリーにおける懸念要素となっている。そのため、市場規模の下振れのリスクをはらんでいるものの、全体的にはコロナ禍からの反動による回復で、多くのカテゴリーで堅調な推移となる見込みである。

2.注目トピック~アウトドアウエアが市場を牽引~

多くのカテゴリーで成長が見込まれるなか、特に好調なカテゴリーがアウトドアウエアで、2023年の市場規模は前年比110.4%の1,700億円になると見込む。

アウトドアウエアはライフスタイル用途での需要が拡大し、コロナ前から成長を続けてきた。特にアウトドアブランドの中でも認知度が高い大手ブランドは街中で着るためのカジュアルファッションとしても人気が高い。また、ファッション性の高さだけでなく、アウトドアウエアとしての機能が搭載されていることで日常生活での着用時における快適性もユーザーに評価されている。これらのブランドのアイテムは従来のアウトドア専門店やスポーツ量販店だけでなく他業態にまでも広がりを見せ、セレクトショップでもアウトドアブランドの商品を提案したり、ストア別注モデルを企画するなどしている。こうしたユーザーとの接点の増加がさらにブランドの認知度を高めるという好循環を生み、キッズウエアやマタニティウエア等、着用者の層が広がっていることで市場拡大が続いている。

3.将来展望

2024年のスポーツアパレル国内市場規模は、前年比102.1%の6,262億6,000万円と予測する。

好調が続くアウトドアウエアの成長率は、2023年から2024年にかけては、2022年から2023年にかけての水準より落ち着くとみるものの、もともとのマーケットの規模が大きいため金額ベースでは50億円を超える規模で増加し、スポーツアパレル市場全体の成長を牽引する存在となり得る。

2024年において全体的に成長率が前年比105%を超えると予測するカテゴリーは無い。多くのカテゴリーにおいて、近年の市場成長はコロナ禍からの回復によるところが大きかったが、コロナ禍の影響は2023年中に落ち着きを見せ、2024年はその点での成長要因がほぼなくなる。それ以外の需要拡大要因に乏しいことから、2024年の成長率は落ち着いたものになると予測する。

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