「親子で表彰台を」密着!女子高校生プロスノーボーダー 父も現役選手 2人で挑んだデビュー戦

宮尾一花選手

特集はデビュー戦に密着です。長野県千曲市の女子高校生が2023年、スノーボードのプロ資格を獲得。1月、プロになって初の大会に出場しました。コーチは、現役選手でもある父親。親子二人三脚で高みを目指しています。

Theきじまスノーパークで開かれた「15th CSBA on SNOW FESTA」(木島平村 1月26日)

1月26日、木島平村のスキー場で開催されたスノーボードの大会。

競技はアルペンのジャイアントスラロームです。

宮尾一花選手

颯爽と滑り出したのは…千曲市の宮尾一花選手。

17歳の高校2年生です。

父・一徳さん(左)と宮尾一花選手(右)

父・一徳さん:
「緊張した?」

宮尾一花選手:
「やばかった(笑)」

父・一徳さん:
「こっちの方がドキドキしたわ」

隣は父親の一徳さん(52)。

一徳さんも現役のプロ選手。この日、親子で出場した大会は一花選手の記念すべきプロデビュー戦でもありました。

自宅(千曲市 1月23日) 

5人家族の宮尾さん一家。一花選手は3人きょうだいの真ん中です。

実は母・里香さん(51)も元プロスノーボーダー。

母・里香さん:
「私がプロを引退した年に、この子を妊娠したのですが、生まれ変わりではないけど、私の代わりに、またこうやってスノーボードを始めて、プロを目指してくれて」

3歳ごろの一花さん(画像提供:母・里香さん)

一花選手がスノーボードを始めたのは3歳から。

一花さん:
「小さい頃から、強制的ではないが、始めて、そこからすごく楽しくて、気が付いたら、スノーボードをやっていた感じ」

父・一徳さん:
「(子どもたちの)誰かがスノーボードをやってくれないかと思って、一花に託したわけではないですが、始めてくれた」

父・一徳さんと宮尾一花選手(2022年)画像提供:母・里香さん

最初はフリースタイルでしたが、小学5年生の時に、アルペン競技へ。

そのころからプロを意識するようになりました。

宮尾一花選手:
「お父さんとお母さんもアルペンをやっていたので、自分も変えようと。やるからにはプロを目指そうと思っていました」

大会に出場するようになると、一徳さんが「専属コーチ」に。一徳さんは日本代表に選ばれたことがあり、長野オリンピックで前走を務めた経験もあります。

宮尾さん親子

宮尾一花選手:
「普段のお父さんと違い厳しい時は厳しいのですが、自分の性格とか、一番お父さんが理解してくれているので、そこはお父さんに教えてきてもらって良かったな」

1月23日、上田西高校

トレーニングも兼ねて高校に入ってからは陸上競技も始めました。

宮尾一花選手:
「中学の時に部活に入らず、自分は筋力がついていなかったので、自分に必要な筋力や体力がつけられると」

日本スノーボード協会主催の「第41回全日本スノーボード選手権大会」

昨シーズン終盤の3月。一花さんは日本スノーボード協会が主催する「全日本選手権」に出場。

見事、優勝して念願のプロ資格を獲得しました。

宮尾一花選手:
「優勝したという感覚がなくて、驚きの方が大きかった。自分がずっと目標にしていたプロ資格を取れたことが一番うれしかった」

協会のプロになると賞金が出る大会に出場でき、そこで切磋琢磨すれば一徳さんのようにナショナルチーム入りの道も開けます。

父・一徳さん:
「自分と同じ舞台に来たというのが、(大会に)一緒に出られるというのが、やっぱりうれしい。自分もまだ続けているのも、一花がいるから続けられているので、一花がスノーボードをやっていなかったら、何年も前に多分辞めていると思うので」

後藤夏樹コーチ(中央)も加わる

上田市の番所ヶ原スキー場は親子の言わば「ホームゲレンデ」。

ほぼ毎週、練習しています。

今シーズンから、後藤夏樹コーチも加り、一花選手は2人から指導を受けています。

近づくプロデビュー戦。

この日は滑走時の姿勢などを確認しました。

迎えた本番。

宮尾一花選手:
「すごく緊張しているのですが、楽しみながら、トップの選手にしっかり挑んでいけたら」

父・一徳さん:
「(朝から娘さんの様子を見ていてどうですか?)ちょっと口数少ないですね、緊張しているのかなと思い、車の中でいろいろアドバイスしながら来た。自分のことよりも、一花のデビュー戦で、俺の方が緊張している」

一花さんの1本目

緊張のデビュー戦。一徳さんもエントリーし目標は親子そろっての入賞です。

参加人数から入賞は、男子が6位以上。

女子は3位以上、つまり「表彰台」です。

一花さんの1本目。

競技は2本滑った合計タイムで競います。

1本目のタイムはまずまず。12人中6位でした。

父・一徳さんの1本目

一徳さんの1本目はー。

42人中11位でした。

2人ともまだ入賞を狙える位置です。

宮尾一花選手

1本目を終えてー。

宮尾一花選手:
「緊張する中で、1本完走できたことは、本当に良かったと思うが、反省の残る1本でもあったので、2本目は納得がいくような滑りをして、少しでも上位に行けるように頑張りたい」

父・一徳さん:
「娘の滑りを見ている方が、めっちゃ緊張しました。下の方で危なっかしかったけど、ゴールしてくれた」

宮尾一花選手の2本目

そして2本目。

やや外に振られます。

タイムは1本目を上回れず、結果は7位でした。

父・一徳さんの2本目

父・一徳さんは、2本滑って12位。

2人とも入賞はなりませんでした。

父・一徳さん:
「めっちゃ落ちてます。次だよ、次あるよ」

宮尾一花選手:
「すごく緊張して固まってしまった部分ある。2本とも自分の納得のいく滑りはできなくてすごく悔しいが、一番はプロ戦を楽しむことができて良かった」

「いつか親子で表彰台」を目指す宮尾さん親子

ほろ苦いデビュー戦となりましたが、プロ選手の道は始まったばかり。

一花選手は「いつか親子で表彰台を」と意気込み、さらにその上も目指しています。

宮尾一花選手:
「これから2人で表彰台を狙って頑張りたいなと思います。ナショナルチーム入りは、本当に目標にしていて、まだまだなのですが、レベルアップしていって、世界でも国内でも戦える選手になりたい」

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