北朝鮮、韓国大統領側近の個人メールをハッキング イギリス訪問の直前

北朝鮮が昨年11月、韓国の尹錫烈(ユン・ソンニョル)大統領の側近の個人メールをハッキングしていたことがわかった。韓国大統領府が14日、BBCに認めた。

ハッキングは昨年11月、尹大統領が国賓としてイギリスを訪問する直前に起きた。

韓国大統領府によると、大統領側近が個人的な電子メールアカウントを公務に使用した後、ハッキングを受けたという。

韓国紙の国民日報は政府高官筋の話として、ハッカーは尹氏の旅程にアクセスしていたと伝えた。

同紙は、尹氏が送った複数のメッセージ内容も盗まれたとしている。

一方で大統領府は、実際にどのような情報が盗まれたのかは明らかにしていない。

「ショックを通り越してがく然」

匿名を条件に国民日報の取材に応じた韓国政府筋は、今回の侵害行為を知り、「ショックを通り越してがく然とした」と同紙に語った。また、尹氏の海外での安全保障に問題が生じた可能性もあると付け加えた。

尹氏は昨年11月に3日間の日程で、国賓としてイギリス・ロンドンを訪問。チャールズ国王とカミラ王妃、リシ・スーナク首相と会談した。

韓国政府は尹氏の渡航開始前にハッキングを確認し、必要な措置を取ったとしている。

また、このようなことが再び起こらないよう、チーム内の意識を高めるなど、セキュリティー強化のための措置を講じていると付け加えた。

側近のハッキング成功は初か

北朝鮮が韓国大統領を支えるチームのメンバーのハッキングに成功したのは、今回が初めてとみられる。

大統領府は声明で、セキュリティーシステム自体はハッキングされていないと強調した。

「この侵害行為は、商用電子メールを業務に使用した、管理者個人の不注意によるセキュリティー規程違反が原因で起きた」と、大統領府はBBCに説明した。

北朝鮮は資産と情報を盗むためサイバーハッキングを行っている。そして、その手段はますます巧妙になりつつある。

北朝鮮政府は徹底的な国際制裁を受けており、サイバーハッカーたちは政権と核兵器開発計画の資金調達のため、大金を盗もうとしている。これは暗号資産であることが多い。

2016年以降、北朝鮮は30億ドルもの資産を盗んだと推定されている。

北朝鮮はまた、高度な兵器技術の詳細を含む国家機密を盗む目的でもハッキングを行っていると考えられている。

(英語記事 North Korea hacked emails of South Korea president's aide

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