七尾―能登中島で運転再開 のと鉄道1か月半ぶり 「お待たせしました!」職員がプラカード

通学で列車を利用する高校生=15日午前7時45分、七尾市ののと鉄道能登中島駅

 能登半島地震で被災し、全線で運休していた「のと鉄道」が15日、総延長33.1㌔の半分にあたる七尾―能登中島間(16.3㌔)で運転を再開した。1カ月半ぶりに利用した乗客からは「やっぱり便利」「ありがたい」と喜びの声が上がった。JR七尾線(津幡―和倉温泉)の七尾―和倉温泉間の運休も解消し、全線復旧した。

 のと鉄道の七尾―能登中島間は、通常上下34本のところ16本に減らし、当面は安全のため速度を落として運転する。能登中島―穴水間はバスによる代替輸送を継続し、4月上旬の運行再開を目指す。

 能登中島駅では夜明け前から職員らが車両の点検などに当たり、売店では甘酒が振る舞われた。午前6時31分、約20人を乗せた始発電車が大きな汽笛を鳴らしながらゆっくりと動きだすと、ホームにいた職員らは手を振って見送った。「のと鉄道運転再開!!お待たせしました!!」とプラカードを掲げる姿もあった。

 七尾駅では高校生らがホームに降り立つ姿が見られた。田鶴浜駅から乗車した七尾高1年の田中康貴さん(16)は「代替バスに乗る時は30分早く起きなきゃいけなかったので、少し楽になる」と笑顔を見せた。羽咋工高2年の高橋諒哉さん(17)=七尾市=は「(再開には)感謝しかない。母親に車で送り迎えをしてもらっていたが、もう面倒をかけずに済む」と話した。

 のと鉄道の中田哲也社長(61)は「地域のために大切な路線。やっと走っている姿が見られた。穴水駅までつなぐぞと思いを新たにした」と語った。

 のと鉄道は地震の影響で、土砂がトンネルをふさいだり、至る所でレールがずれたりしたほか、ホームも沈下した。1月29日からバスによる代替輸送を実施し、線路を保有するJR西日本が復旧作業を進めている。

 JRの特急「サンダーバード」「能登かがり火」は当面の間、和倉温泉駅発着の上下計8本を運行する。七尾―和倉温泉間に限り、特急列車の普通車自由席を乗車券のみで利用できる。

関係者がプラカードを掲げる中、出発するのと鉄道の始発列車=15日午前6時31分、七尾市ののと鉄道能登中島駅 備考

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