エアバスCEO、宇宙事業の多額費用計上に不快感

[パリ 14日 ロイター] - 航空・宇宙の欧州最大手エアバスが宇宙関連事業で昨年11月、予想外に3億ユーロ(3億2000万ドル)の費用を計上したことについて、同社のギヨーム・フォーリー最高経営責任者(CEO)が先月の社内向けメモで「容認できない」と強い不快感を表明していたことが関係者への取材で分かった。同CEOは単刀直入に問題に切り込み、内部危機と呼ぶ事態に陥ったと危機感の共有を呼びかけた。

費用計上は衛星プログラムが対象だが、どれかは特定されていない。関係者によるとエアバスの商業用通信の「OneSat」型衛星が含まれているという。

ロイターが入手したメモの抜粋によると、同CEOは2023年の総評を1月に従業員に示し、その中で「宇宙事業で大きく失敗し、全体の業績に悪影響を及ぼした」と発言。一部の主要な衛星開発を巡る予想外の費用計上について「これほどの規模の突然の失敗は容認できない」と付け加え、グループ全体が「危機」から学ぶように促した。

さらに「エアバスは上場企業であり、航空宇宙と防衛産業の世界的リーダーとして、これは断じて受け入れられない」と訓示した。

関係者によると、今回の社内メモとは別に同CEOは、宇宙システム担当執行副社長のジャンマルク・ナスル氏を更迭し、後任にエアバス事業の責任者アラン・フォーレ氏を起用する人事方針を従業員に伝えたという。

同CEOは今年に入り、防衛・宇宙分野での戦略の見直しに一段と注力している。一部のアナリストの間では、同CEOの存在感が再び大きくなる決定に加え、イーロン・マスク氏のスペースXのロケットや新世代の低コスト衛星との競争により、エアバスの宇宙ビジネスの将来には疑問符が付くとの声が上がっている。

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