2月1日から10日まで、海上自衛隊はアメリカ軍と合同で、伊勢湾内である訓練を実施。普段は見ることができない海上自衛隊の艦船内部にカメラが潜入しました。
海上自衛隊「掃海艇・たかしま」。普段、どのような訓練をしているのか。今回は特別にたかしまへの乗船が許されました。
まずは、出航準備のための確認作業を行います。
■午前9時 出航
出航前にはラッパを吹く様子がありました。出航してしばらくすると、隊員がヘルメットと防護服姿になりました。実はたかしまは、船が接近または接触したときに爆発する兵器「機雷」を爆破処理する役割を担っています。
日本近海では、太平洋戦争中にアメリカ軍が投下したとみられる機雷が今も不発弾として残っています。その「機雷」を安全に爆破処理するのが掃海艇の役割です。
声を掛け合う隊員。機械で持ち上げている黄色い物体は、機雷探知機です。この機雷探知機は、海に沈められた機雷を音波やカメラで検知。機雷の横に爆発物を置き、その後、遠隔操作で機雷を爆破します。
船内では節水を徹底
この日は隊員が機雷探知機を手元のリモコンで操作し、爆破するまでの手順を確認しました。その後、隊員が船内を案内してくれました。中でも驚いたのが風呂の入り方。
隊員:
「(たかしまは)真水の保有量が少ないので、みなさん、すごい節水にはうるさいです」
【海上自衛隊員の風呂の入り方】
1.半分ぐらいの水圧で、体を濡らす
2. シャンプーを泡立てて、体洗って、ひげを剃る
3. 最後にシャワーで流す
4. お湯に浸かる
隊員:
「入浴時間は3分から4分。そのぐらい節水でやっています」
■午前10時ごろ 「うらが」に乗船
たかしまの前に一隻の艦艇が! 掃海母艦「うらが」です。うらがは掃海艇への燃料補給などを担います。たかしまが母艦うらがに横付けして、午前10時過ぎに隊員がうらがに乗船。うらがの船内を案内してもらいました。
海上自衛隊 松永 昭仁二等海佐:
「これが補給するようのホースになります。こちらが水を補給するためのホースで、こちらが燃料、軽油ですね。艦船用の燃料を補給するホースです。この設備が右側と左側の2カ所設置されています」
たくさんのベットが置かれた部屋もありました。
松永二等海佐:
「医務室になります。この医務室は厚生労働省の診療所指定を受けています。大きな訓練に行くときは、医師が乗船。医師が乗って医療行為ができる設備があります」
安全な任務遂行のために、診療所を持つ母艦の役割は非常に大きいのです。
■午後2時 再び「たかしま」へ
再び、掃海艇・たかしまに乗り込んだ取材班。すると、別の訓練が行われていました。
掃海長:
「再三になるけど風が強い。動揺もあるからね。復唱! 言われたことに返事をするとか、返さないと了解が取れないからな。しっかりその辺を考えてやるように。いつもと違って、投入してすぐ揚収となるから、タイミングがずれると思うが計算してやっていく。いいね? 安全が最優先、がんばっていこう」
機雷には海底に重りがついた種類もあります。そのような機雷は、重りと機雷をつなぐケーブルを切断し、その後、爆破処理します。そこで重要なのが、ケーブルを切断するカッターと呼ばれる装置です。
厳しい環境で訓練を行うことで能力を向上させる
そのカッターが装備される装置を海中に下ろす手順も確認しました。
今回、伊勢湾で訓練をした理由について話を聞きました。
海上自衛隊 山口 雅史一等海佐:
「鈴鹿の吹きおろしが非常に強いです。厳しい環境で訓練ができます。日向灘は、黒潮の影響で、かなり潮流の影響が強い。さまざまな環境で訓練をすることで、我々の能力は向上していきます」
今も日本近海に残る機雷。安全に処理を行うため、隊員は今日も訓練に励んでいます。