リバプールの「アンカー」に相応しいのは遠藤航かマク・アリステルか? 複数の現地メディアが論争を展開! クラブOBは後者に別の要求も…

アジアカップでは準々決勝までの全5試合にフル出場を果たした遠藤航は、リバプール復帰後、現地時間2月10日に行なわれたプレミアリーグ第24節バーンリー戦で、さっそくスタメンのアンカーとして後半アディショナルタイム途中までピッチに立ち続けた。

守備面で精力的かつ効果的なプレーだけでなく、攻撃のテンポを変える重要な役割も果たしたことで、背番号3は現地メディアから軒並み高評価を得ることに。前半終了間際のセットプレーでの失点時には、ダラ・オシェアにプレッシャーをかけられずにヘディングシュートを許してしまったが、それを差し引いてもお釣りが来るほどの働きだったというのが、大方の見方である。

リバプールの地元メディア『Liverpool World』は、次節ブレントフォード戦(2月17日)を展望する中で、出場メンバーについても言及しているが、遠藤を「日本代表としてアジアカップに出場した後、(バーンリー戦では)かつてないほどのパフォーマンスを披露した。昨夏にシュツットガルトから加入し、アンフィールドでのキャリアのスタートは遅かったが、現在は順調に定着している」とポジティブに評して、予想ラインナップにその名を加えた。
リバプールのクラブ専門メディア『LIVERPOOL.COM』も、「遠藤は大活躍中だ。彼はプレミアリーグのペースに適応するのに時間がかかったが、アジアカップによる離脱中には、日本代表でも主力として活躍しており、ユルゲン・クロップ監督は遠藤を先発起用することに何の躊躇もしていない」と賛辞を贈り、日本人MFが有用な選択肢であることを強調している。

しかし同メディアは、同時に「(遠藤の離脱中には)アレクシス・マク・アリステルの“再発明”があった。現在、この世界王者の一員はリバプールにとって、中盤の最も深い位置での役割が最も適している状態にある」とも指摘し、「それゆえに遠藤の好調を考えると、ジレンマが生じてきてしまう」と綴る。

ともに中盤の不可欠な存在とされながら、4-3-3のフォーメーションにおいて、どちらがアンカー(6番のポジション)に適任か、そしてどちらがインサイドハーフ(8番)に移るべきか、あるいは2人を活かすためにシステムを変えるべきか、という議論が今、多くの現地メディアで展開されている。『LIVERPOOL.COM』では、編集者のマット・アディソン氏が「最終的にどちらか一方を選択する場合、勝者はひとりだけ。チームに慣れてから多くの印象を残している遠藤には厳しいが、このペアの中で最も優れているのはマク・アリステルだ。彼はポゼッションでより多くのものを提供でき、今ではオフ・ザ・ボールの要求にも慣れてきた。8番の役割でも使えるという選択肢が加わる中、マク・アリステルが間違いなくナンバーワンだ」と断言している。

対してジェームズ・マーティン氏は、「クロップ監督は、好調な遠藤とマク・アリステルを同時にプレーさせる最初のチャンスを得た中で、アルゼンチン人選手からはベストを引き出せなかったが、ここで忍耐力を示す必要がある。そしてマク・アリステルは、ナンバー8の役割やそこで求められることを再学習しなければならない。(中略)最終的には、後方の遠藤が提供する強固な基盤から恩恵を受けられるだろう」と主張した。

また、別のクラブ専門メディア『Empire of the Kop』の編集者であるジョーダン・チェンバレン氏は、「バーンリー戦では遠藤が中盤の底に位置し、その前方でマク・アリステルがワイドな8番の役割を担ったが、これではアルゼンチン人選手がボールを運ぶことがほとんどできなくなった。遠藤は偉大な“破壊者”であり、彼もまた合理的なパサーではあるが、マク・アリステルのような技術、ビジョン、または緻密なコントロールで狭いスペースを突く能力は有していない」との見解を示している。
そして、リバプールOBで元アイルランド代表FWの現コメンテーター、ジョン・オルドリッジは、バーンリー戦のマク・アリステルが「とても静かだった」と評価した上で、ブレントフォード戦では「彼には、アンカーの遠藤の隣まで下がってスペースを埋め、相手がペナルティーエリア付近でセカンドボールを得られないよう要求したい」と提言。これを紹介したクラブ専門サイト『ROUSING THE KOP』も、「2人のダブルピボットは非常に上手く機能する可能性がある」と期待を寄せた。

ともに優れた武器を持つ両選手ゆえに、クロップ監督にとっても現時点では悩ましいところなのかもしれないが、同時起用の「最適解」を見つけた場合、アーセナル、マンチェスター・シティとの熾烈なマッチレースの様相を呈しているプレミアリーグの頂点にぐっと近づけるのかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

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