少子化時代 選ばれる道内の大学は

今回のけいナビは、少子化時代の大学経営がテーマ。1990年代前半のピーク時に205万人いた18歳人口が年々減少し、2035年には100万人を下回るという予測がある中、道内の各大学がどのような取り組みをしているのか探った。

昨年10月に北広島にある「北海道ボールパークFビレッジ」への移転を決めた北海道医療大。10年前に7000人近くいた志願者数が直近では4000人台にまで減少。将来の大学存続を考え、当別町内にあるキャンパスを移す決断を下した。

鈴木英二理事長は、札幌からのアクセスの良さに加え、学生がアルバイト先を確保しやすいといった要因も移転の背景にあるとの考えを示した上で、「新千歳空港にも近くなることから道外、海外からも学生を呼び込むことが可能になるのではないか」と話した。

日本医療大は、札幌の郊外と恵庭にあるキャンパスを集約する目的から、2021年に月寒本キャンパスを開設。その際、どのような機能があったら良いか学生にアンケート調査をした。

そうして設けられたのがジムやコンビニ、パン屋、クリーニング店。学生からは「キャンパス内にいろいろな施設があることが志望の動機になった」という声が聞かれた。青手木良光常務理事は「学生が減ってから対策を打っても効果はない。先を見据えて対応していけば少子化時代でも存続していける」とする。

旭川市立大は、私立から公立へと変わり間もなく1年。公立化の前に1倍程度だった経営経済学科の入試倍率が5倍を超えるようになった。

高瀬善朗理事長は、「公立化することで教える側のスキルが向上し、大学の存在感も増す」とする。2026年には新たな学部を開設する予定で、「大学があって良かった」と地域の人たちから言われるような経営を目指す方針だ。

全国各地から1万人を超える学生が集まる北大も、地域との連携を重視する。昨年10月に「半導体拠点形成推進本部」を設置、関連産業の振興を図れるような人材の育成を目指していく。

宝金清博学長は「関連の取り組みを強化することで、学部の定員を50人ほど増やすことが可能になる」と説明。東北大とも連携して態勢を強化し、半導体分野で国内トップクラスの大学となることを目指していく。

番組コメンテーターを務める北大大学院経済学研究院の平本健太教授は、大学内に酒蔵を設けている帯広畜産大を事例に、「あそこの大学に行けばこれを学べるというような明確な売りを持つことが、選ばれる大学になるポイント」と指摘した。

(2024年2月17日放送、テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)

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