妊娠・出産にまつわる不思議な話。「子どもを産む前に何かを産み落とした……」の謎に、ベテラン助産師が迫ります

引用元:hallohuahua/gettyimages

「たまひよ」アプリユーザーに「妊娠・出産の際に不思議な体験をしたことはありますか?」と、質問。すると、たくさんのエピソードが寄せられました。
総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務し、これまでに数千人の母子のケアに携わられた助産師の浜脇文子先生に聞きました。

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不思議エピソードで一番多かったのが「性別が事前にわかった」

「性別が分からなかった時でしたが“絶対女の子”と、確信していました。実際に女の子です」(おにぎり)

と、性別では母の勘が的中!というエピソードが多く寄せられました。
次に多かったのが「夢」関係でした。

予知夢? 正夢? 偶然とは思えない夢に関わる不思議エピソード

一番多かったのが、やはり「性別がわかった」関係の夢。なかには予知夢に近い体験をした声もありました。

「産院で心拍を確認した日の夜、夫も私も女の子と遊ぶ夢を見ました。実際に女の子が生まれました」(あやな)

「結婚どころか彼氏すらいなかった独身20代の頃、2歳くらいの女の子が夢に出てきて、『こんな私でも親になれたんだ』と、感動したのを今でも覚えています。その女の子は素直で可愛くて、本当に今の娘にそっくり。私は、夢はすぐ忘れてしまうタチなんですが、その夢だけは鮮明に覚えているのがまた不思議」(みわ)

「生理予定日1週間前、夢に知らない占い師がでてきて『ちょうど妊娠したところよ』と、言われました。その後、生理がこなくて本当に妊娠していました。あの占い師はだれ⁉(笑)」(ゆーきゃん)

「可愛がっていた愛猫が病気になり、苦しむ姿を見るのが辛すぎて『もうムリしなくていいよ、私のおなかに来る?』と、言いました。愛猫は翌々日に虹の橋を渡りました。約1年後、夢で愛猫がおなかに乗ってきて『久しぶりだねー』と、話した数日後、妊娠がわかりました。性別も一緒なので生まれ変わりか⁉(笑)」(のん)

「不妊治療で失敗続きだった私に義母から手紙が届きました。『死んだおじいちゃんが子どもを連れて夢に出てきた』という内容でした。その話を実姉にしたら『実は私も夢をみた。今回は大丈夫だと思う。私の夢は正夢だから』と自信満々に言われました。2人から言われても半信半疑でしたが、その後無事に妊娠しました」(コツメカワウソ)

子どもが本能で察知⁉ まずは上の子編

「妊娠検査薬で陽性が出た超妊娠初期から、娘の赤ちゃん返りが始まりました」(ツチノコ)

「上の子から『そろそろ生まれる』と、言われたら陣痛がきました」(ふゆなつ)

「検査薬にうっすらと妊娠線が出た時、上の子にその話をしたら『赤ちゃんはいないよー』と。病院へ行ける週にもう一度検査をしたら陰性でした……」(こはる)

肉親でなくてもわかる⁉ 他人の子編

「妊娠超初期の頃、夫と一緒に美術館へ行きました。家族を描いた絵を見ていたら、4歳くらいの男の子が寄ってきて、夫に『あなたもパパだね』と。その子には私のおなかに赤ちゃんがいることがわかったのか、夫の見た目が父親っぽいから言ったのか……謎です」(ロン)

「保育士をしています。私の妊娠を知っているのは職員のみで、園児と保護者にはまだ共有されていない時期のことです。Mくん(2歳)のトイレ後の着衣の援助をしていたら、『もうすぐ赤ちゃん来るよ』と、私に言います。うん?Mくんに弟や妹ができたのかなと思って『Mくんの家にくるの?』と、聞き返すと『違うよー!』と、言いながら走って保育室内へ戻ってしまいました。謎……(笑)」(くらげ)

「保育士をしています。担当していた1歳児が突然赤ちゃんかえりを始め、抱っこしても私のことを拒否するように。不思議に思って妊娠検査薬を試したら妊娠していました。その子に性別を伝えていなかったのに、家で『先生の赤ちゃんは女の子』と、と何度もお話ししていたと聞き、とても不思議に感じました」(ぷるーん)

あれは何だったの? 何とも思えない不思議エピソード

「10年以上授からず、もう子どもは諦めようかと、お互いに思っていた頃の話です。パートナーと仲良く行為をした時に、何故か『あっ子どもができたな』という不思議な感覚に。実際にその後妊娠してびっくり。あの不思議な感覚は一生忘れられないです」(ささ)

「不妊治療4年。従兄弟の新生児を抱っこさせてもらった時に、ふと『私にも生まれる……』という不思議な感覚に陥りました。その後すぐ妊娠しました」(ぐりーんめん)

「車で1時間ほどのところに昔、偉い僧侶が立ち寄ったと言われる大きなお寺があります。お寺の隅に仏像があり、足元に抱きついて『赤ちゃんが来ますように』と、お願いすると良いと聞き、妊活中は何度も参拝していました。
ある日、いつものように足元に抱きついてお願いしたら、上から視線を感じます。見上げると、いつもは表情のない仏像さんと目が合った気が……。
不思議なこともあるもんだと思っていたら、翌週に妊娠発覚。あとから聞いた話ですが、そのお寺の住職の妻も、その仏像さまと目があう不思議体験をしたあとに妊娠したそうです。赤ちゃんがきているよ、と教えてくださったのかなと思っています」(わさび)

「妊娠初期に結構な量の出血が続きました。流産してしまうのかなと不安だったとき、おなかの子が『ママ、僕は強い子だから大丈夫だよ』と、言っている様な感覚がありました。出血は続いていたものの順調に成長し、無事に出産。男の子でした」(りんりん)

「戻ってきてくれた」「見守られている」感動エピソード

「来年の出産予定日は、上の子の流産宣告の翌日でした。あの子が戻ってきてくれたんだと思いました」(もも)

「最初の子は子宮外妊娠でした。手術の前夜、夢に男の子が出てきて『ママ、またね!』と、言われて目が覚めました。現在、おなかの中で動き回っている子は男の子。戻ってきてくれたのかな……」(チョコまま)

「体外受精で妊娠しました。予定日は3年前に流産した子を手術した日です。移植した日に虹を見ました。虹の橋を渡って戻ってきてくれたのかな」(さお)

「不妊症で、お医者さんから『ほぼ自然妊娠は無理』と言われていたのに、最愛の母の3回目の命日に妊娠がわかりました」(ここなまむ)

「妊娠中、亡くなった父の夢を頻繁に見ました。父に会わせられなかったけど、見守ってくれているんだと思っています」(あす)

「妊娠が分かる少し前に父が亡くなりました。大好きな父に報告したかったなぁ……と思っていたら、夢に出てきてくれました。『双子を妊娠したよ!』と伝えると、『2人も来てくれたのか!』と泣いて喜んでくれました。無事報告できてとても嬉しかったです」(みどみど)

いろんな意味で妊娠って不思議エピソード

「子宮口7センチのときに卵のようなものを産み落とした気がして、看護師さんを呼んだら子宮口が10センチになっていました。おなかが大きくて見えなかったのですが、いまだに何を産み落としたのかわかりません」(りー)

「悪阻もなにもなく、羨ましがられるくらい安定した妊娠生活を送れていたので、いざ胎動が始まると『本当におなかにいるんだ~』と、不思議でしょうがない」(しらたま)

本当に、妊娠自体が不思議体験と言えそうです。
とはいえ「何かを産み落とした」エピソードは謎です。数千人の母子と家族のケアを行い、多方面で活躍する助産師の浜脇文子先生に聞きました。

「妊婦さんって身体の感度が高いなぁと感じることがあります」と、浜脇先生

「『子宮口7センチの時に何かを産み落とした』という体験ですが、私は胎胞(たいほう)ではないかと推察します。

胎児は卵膜に包まれていますが、陣痛が始まると卵膜は羊水を含んだまま子宮口から外へ向かって膨らんで胎胞となり、子宮口をぐいぐい広げて全開になると破けます=破水です。
その胎胞が破れぬまま子宮口の外にグルンとはみだして、何かを産み落としたような感覚になったのかな……と。もしそうなら、子宮口10㎝の理由もうなずけます。もしくは血液の塊かな……と。

このエピソードはなんとなく科学で解明できますが、実は妊婦さんの不思議体験はあるあるで、私もよく耳にします。性別がわかったという話を筆頭に、受精がわかったというエピソードも実は珍しい話ではありません。

私は、女性って妊娠すると身体の感度が高くなるというか、第六感が研ぎ澄まされるのかな、と思っています。

非科学的と言われるかもしれませんが、そもそも妊娠自体が神秘的なのですから、完全否定することもないというのが、個人的な感想です。
現代は、ある程度のことが科学で説明出来てしまいますが、妊娠・出産の現場にいると人智を超えた力を感じることが多々あります。

だからこそ不思議体験は非常に貴重だし、大事にして、将来は我が子に話してあげて欲しいと思います」

濵脇文子(はまわき ふみこ)

助産師・保健師・看護師。大阪大学招聘准教授。星薬科大学非常勤講師。総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務。母と赤ちゃんの笑顔が大好きで、数千人の母子のケアに携わります。産前産後ケアセンターの立ち上げに参加したり、民間企業での事業開発など多方面で活躍。自治体の講演や各種メディア執筆では、ひとりひとりのペースにあわせた母に寄り添う姿勢と、明るく軽快な語り口で人気を博します。

文/和兎 尊美

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※妊娠の予兆・予知などはあくまで個人的な感想で、医学的な根拠などはありません。
※記事の内容は2023年11月の情報で、現在と異なる場合があります。

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