【リニア】静岡県とJRの仲裁役で議論先導する国交省に県が反発…課題「30項目は未解決」の主張にJRは

静岡県とJRの仲裁役としてリニア問題の議論を先導している国交省に対し、県が反発しています。県は47項目の課題のうち「30項目は解決していない」と主張していますが、これに対しJR東海の見解は?

(川勝知事)

「(村田鉄道)局長から全部終わったと言われたということですが、それは正確ではない」

リニア問題をめぐる議論を終えたとする国交省に対し14日の会見で強く反発した川勝知事。

リニア問題は「大井川の水問題」「南アルプスの環境保全」「トンネル工事で出た残土置き場」の3つの課題があり、静岡工区着工のめどはたっていません。

県は2019年に47項目の課題を取りまとめ、県とJRの仲裁役として設置された国の有識者会議が議論を続けてきました。

国の有識者会議は約3年半にわたって議論し、2023年12月「南アルプスの環境保全」についてまとめた報告書を国交省に提出。国交省は、県が示した47項目の課題についても「議論を終えた」との認識を示していました。

これに対し、県は2月、47項目の課題のうち解決したのは水問題の一部のみで、「30項目は解決していない」と反発していました。

こうした中、先週、川勝知事のもとを訪れたのは“仲裁役”である国交省の鉄道局長。30項目が“未解決”と主張する県に対し、「有識者会議で全て取り上げ対策を明らかにしている」と説明しました。

(国土交通省 村田 茂樹 鉄道局長)

「いずれにしても基本的な論点あるいは対策については、報告書の中で、現時点において、取り得るものは全部取り上げて対策も明示しているものと考えている」

これに対し、川勝知事は「議論が不十分」との認識をあらためて示しました。

(川勝知事)

「今後もJR東海においても具体的な内容を検討する必要があるという認識は、国と一致していると考えている。生物多様性については、県が提出した意見書が反映されていない点も多々見受けられるので、認識が異なる部分はあると考えているが、この点については今後のJR東海との対話を通じて、国ともしっかりすり合わせをしていきたいと考える」

また“封印”したはずの“ルート変更”に関する発言も。

(川勝知事)

「リニアは国家的事業なので国がモニタリングするのは個別の論点の生態系の順応的管理や水の流量管理も必要だが、(両分野は)リニア新幹線全体のルートに関わること。議論はそこにとどまらないだろうと思っている」

14日もリニアをめぐり“持論”を展開しました。

リニアをめぐる47項目の課題のうち30項目が“未解決”とする県に対し、JR東海の丹羽社長は15日の会見で、「論点は残されていない」と、国交省と同じ認識であることを改めて示しました。

( JR東海 丹羽 俊介 社長)

「国交省の鉄道局は47項目を含めて論点は残されていないという認識。当社としても47項目を含めて議論すべき論点は残されていないと考えている。静岡県が整理した今後の対話項目に関して具体的にどのような点についてどういった対話が必要なのか県と確認しながら実務的な意見交換を開始している」

リニア問題の解決に向けて一定の進展はあるものの、議論の進捗についても認識にズレが生じている県とJR東海。今後このズレを埋めることはできるのでしょうか。

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