子供の4割が花粉症、親が気づかぬケースも 目がかゆく「勉強に集中できない」

2024年も花粉の季節が始まった。急に暖かくなったこともあって、すでに花粉が飛び始めた地域も多い。ドラッグストアなどでは例年よりも早く、花粉対策のグッズ売り場が設けられている。最近は花粉症の低年齢化、子供の花粉症が特に大きな問題になっている。

発症年齢は平均5.8歳

東京都内では2月9日から花粉が飛び始めた。NHKによると、飛散の開始は、過去10年の平均と比べると6日早い。花粉の量は、例年並みとなる見込み。

近年、問題になっているのは、子供の花粉症が増えていること。ロート製薬の調査によると、今や0~16歳の子供の42%が花粉症とみられ、10年前から約10ポイント増加しているという。

発症年齢は平均5.8歳。およそ4人に1人が目のかゆみなどによって「授業など勉強に集中できない」と答えている。一方で、約3割の親は「子どもの花粉症対策をしていない」ことも明らかになった。

製薬会社「協和キリン」は、ウェブサイトで「大人と子どもの花粉症の違い」について解説している。それによると、子供の場合、「くしゃみ」より「鼻づまり」が主な症状になる傾向がある。これは、鼻が小さいからつまりやすく、つまると花粉が入ってこないことからくしゃみも出ないというためだという。

子供は、自分では花粉症なのかどうか判断ができない。そのため親が早めに症状に気づいて対処する必要がある。

花粉症の約7割がスギ

花粉症は、どの国でも発生している。地域によって生育する草木が異なるため、花粉症を引き起こす草木も異なる。厚生労働省のウェブサイトによると、日本では花粉症の約7割がスギ花粉症。これはスギが日本の固有種で、日本ではスギ林の面積が大きく、全国の森林の18%、国土の12%を占めていることなどによる。

花粉が生産されるのは、樹齢30年程度以上のスギと言われている。国内の人工林の多くが植えられて30年以上なので、大きくなったスギが花粉をばらまき続け、スギ花粉症の人が年々増えている。

子供の花粉症が増えているのは、基本的には、飛散する花粉の量が年々増えていることによるとされている。加えて、親世代の花粉症が増えた結果、遺伝的に花粉症になりやすい体質の子供も増えているのではないか、との見方もある。

政府は、人工林の伐採規模を拡大し、スギ花粉の発生量をおよそ30年後に半減させることをめざしている。かなり先の話なので、今のところ個人レベルで対策を考えるしかない。

ウールは花粉が付きやすい

日常の花粉症対策には何が有効か。日本気象協会中国支店の古庄栄子さんは2月14日、協会のウェブサイトtenki.jpで以下のようなことに留意するよう呼び掛けている。

(1)衣類の工夫
一般的にウール製の衣類などは木綿や化繊に比べて花粉が付着しやすく、花粉を屋内に持ち込みやすくなる。外出の際は、外側にウール素材の衣服を着ることは避けて、表面がツルツルした素材の上着を選ぶように。

(2)メガネ
メガネを使用しない場合に比べて眼に入る花粉量はおよそ40%減少し、防御カバーのついた花粉症用のメガネではおよそ65%も減少するという実験結果がある。

(3)マスク
マスクで花粉を吸いこむ量を、およそ3分の1から6分の1に減らすことができる。マスクは顔にフィットするものを選ぶ。またマスクの内側にガーゼを当てること(インナーマスク)でさらに花粉が減少することが分かっている。

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