【フェブラリーS/全頭診断】「3.0.0.0」条件発動の人気一角 オメガギネスによぎる“単勝”への不安

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今週は東京競馬場で、第41回フェブラリーS(GI、ダート1600m)が行われる。レモンポップ、ウシュバテソーロがサウジカップに活躍の場を求めたことで混戦ムードが漂う今年。割れる想定のオッズとのにらめっこに頭を悩ませそうだ。

ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬16頭の全頭診断を行う。

■フェブラリーステークス2024 出走予定馬全頭診断

・アルファマム

キャリアを通じて1600m以上は未経験。ハイペース想定でスタミナが問われるシチュエーションが予想される今年のメンバーにあって、同馬の臨戦過程はマイナスと言わざるを得ない。

・イグナイター

前走JBCスプリントで待望の地方交流GI制覇。2走前のマイルチャンピオンシップ南部杯はこなしたものの、ベスト条件は1400m以下と言えそうだ。3歳時に参戦した当舞台のユニコーンSは12着と惨敗。当時との比較で力をつけてきているとはいえ、強調材料は乏しい。

・ウィルソンテソーロ

この馬で強調したいのは距離適性。1600m以下の成績【3.0.0.0】が示すように、マイルより長い距離か否かでパフォーマンスが変わる印象を受ける。そのなかには東京ダート1600mの2勝も含まれており、かきつばた記念ではドライスタウトに勝利。2着が続く近2走の勝ち馬はレモンポップ、ウシュバテソーロとこの路線のトップクラスで、今年のメンバーなら中心視も可能だ。

・オメガギネス

除外濃厚から一転、出走が叶った馬。鞍上にC.ルメールを迎えて臨むここは強い勝負気配を感じる1頭と捉えられるだろう。ただ、唯一の懸念点を挙げるとすれば良馬場適性。わずか2戦ではあるものの1勝クラスでの辛勝、3歳馬同士のレパードSで2着とパフォーマンスにやや陰りが見られているのだ。重箱の隅をつつくレベルの事象かもしれないが「勝ち切ること」を念頭に置いた場合に気に留めておきたいところ。

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・ガイアフォース

今回が初ダートとなる馬だが、安田記念4着、天皇賞・秋5着と東京芝GIで発揮したパフォーマンスは上々。ダート路線で豊富な経験を積んだ馬相手で分が悪いのは確かだが、砂を被るリスクが軽減できる外めの枠を引いた際に一考したい。

・カラテ

ダートを使われた2戦はいずれも勝ち馬と2秒以上離される競馬。厳しい。

・キングズソード

昨年は3連勝で地方交流GI・JBCクラシックを制覇。テーオーケインズ、メイショウハリオといったトップクラスをちぎったのだから、フロックとは言えないだろう。前走は案外も、3走前の良馬場ダート1700mは1分42秒0の好時計で勝利。マイルに対応できるスピードを十分に兼ね備えており、ハイペースかつ良馬場でのスタミナ勝負が予想される今年のメンバー構成では要注意の1頭だ。

・シャンパンカラー

今回がキャリア初のダート戦。未知の馬場適性もそうだが昨年6月以来の実戦と、ローテーション面での不安から目を背けることはできない。ここは様子見が妥当か。

・スピーディキック

昨年のこのレースは6着。連勝の勢いと追込馬が上位入線の展開利を得ても掲示板内すら届かなかった。勝ち星から遠ざかる現状から、一変は望み薄か。

・セキフウ

昨夏にダート1700mで連続好走を続けた馬。キャリアを重ねて適性が書き換わった感があり、現状の同馬にとって東京ダート1600mは不適条件と言える。

・タガノビューティー

前走根岸Sは600m通過35秒8の超スロー。あの展開になってしまってはどうしようもなかった。ハイペース適性の高さは2走前の武蔵野S2着が証明しており、今年は有力馬に逃げ先行馬が多数。良馬場東京ダート1600mの成績【2.2.1.1】も含め、穴妙味を感じる1頭だ。

・ドゥラエレーデ

海外を含めたダート成績は【1.1.2.0】。積み重ねた経験値がモノを言うダート路線にあって、3歳馬の身で大舞台の連続好走は高く評価できるだろう。とはいえ今回は自身初のマイル戦かつ、直線の長い東京替わり。鞍上の剛腕で2.3着に残す可能性こそあれ、終いが切れる「何か」に差されるシーンが頭をよぎってしまう。

・ドンフランキー

1600m以上を使われた2戦はいずれも掲示板外。次走にドバイ遠征を予定している馬でもあり、勝負気配は乏しい。

・ペプチドナイル

重賞では【0.0.0.3】と厚い壁にぶち当たる現状。厳しい。

・ミックファイア

中央の古馬一線級との初対戦だった前走東京大賞典。勝ち馬と2秒4差は負けすぎと言えるが、砂の入れ替えや体調面の問題などがあったのだろう。良馬場のジャパンダートダービーを2分4秒台で走破した馬にはカネヒキリ、グレープブランデーといったフェブラリーS勝ち馬が並ぶ。見限るにはまだ早い。

・レッドルゼル

昨年のこのレース2着馬。当時は外枠で終始ストレスなく走れたこと、差し馬が上位の多くを占めた展開利も追い風となった印象だ。今年も後方待機馬のアドバンテージが大きい可能性が高いとなれば、あとは枠次第。内めの枠なら評価を下げ、外めの枠なら評価を上げるスタンスで臨みたい。

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UMAJIN.netより一部編集・転載(2024年2月15日 18:03公開の記事

著者プロフィール

田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。

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