「国民は納税、自民はノー税」 派閥パーティー裏金事件、確定申告開始で高まる批判

国会議事堂(資料写真)

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で同党議員が政治資金収支報告書の記載などを訂正していることを巡り、党内外から「脱税逃れ」との指摘が相次いでいる。16日から確定申告が始まることを受けて野党は「国民は納税、自民はノー税」(社民党幹部)などと批判のボルテージを上げた。自民は「使途不明」の場合に税を納付させる対策案の検討を始めたが「誰も火中の栗は拾わない」(同党職員)状態とされ、実現は不透明だ。

 「政治として毅然(きぜん)とした態度を取った上で確定申告を前に国民の皆さんにお願いをしなければならない。申告は社会に必要とされる公的サービスを分かち合うためだ」。14日の衆院予算委員会で岸田文雄首相(自民総裁)は裏金事件の謝罪に続けて、国民へ確定申告の完遂を呼びかけた。

 X(旧ツイッター)では「裏金さておき納税呼びかけ」がトレンド入り。SNS上には首相を名指しして「まずはおまえがな!」「鋼のメンタル」などの批判や皮肉があふれた。自民内には「官僚が余計な答弁を織り込み国民の神経を逆なでした」(閣僚経験者)と財務省などへの〃八つ当たり〃が広がっている。

 複数の自民関係者によると、首相は同じ日に党に対し政治倫理審査会の開催調整に加え、納税の検討を指示。しかし「対象議員の説得に誰が当たるのかなど肝心な部分は『よしなに』とばかり丸投げ」(同党幹部)で「責任の所在も曖昧」(同)という。

© 株式会社神奈川新聞社