「Apple Vision Pro返品した」報告が急増、理由は頭痛やVR酔い・生産性の低さなど。返品規定の期限間近

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今月はじめに米国で発売されたアップルの空間コンピューター「Vision Pro」は、当初こそ非常に高い評価が方々で聞かれました。

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しかし発売からほぼ2週間を経た現在、この製品をアップルに返品するというユーザーの報告がSNSなどで目立ち始めています。

3500ドルを投じて購入した製品への不満としてよく挙げられているのは、装着しているとヘッドセットの重量のせいで頭痛や顔の痛みを引き起こすというもの。

購入後2日で返品を決めたRedditユーザーは、その重量と着け心地の悪さを指摘し「長時間使用することは考えられない」と述べています

そのほか、乗り物酔いのような症状や目の充血、ドライアイなどを訴えているユーザーもあり、既存のVRヘッドセットにありがちな問題は、Vision Proでも発生しやすい模様です。

自称ハードコア・アップルファンのコリン・マイケル氏は、YouTubeへの投稿で「Safariを起動して、中古車を検索したりするといった、MacやiPhoneがあれば事足りることをするために、わざわざヘッドセットを装着する手間と労力を費やす価値はない」と述べました。

他には、NetflixやYouTubeが発売時に対応アプリを用意しないなど、Vision Proで使えるアプリの少なさ、実用性の低さも不満のひとつのようです。Vision Proはエンタメ用としてだけではなく、生産性を向上するツールとしての側面も宣伝されているものの、Vision Proを装着してのコーディング作業を試したエンジニアは、その体験が納得のいくものではなかったと述べました

またウィンドウを複数開いてファイル管理を行う作業などは「マウスとキーボードで行うのに比べて省力化できるとは思えない」との意見もありました

ただ、返品を決めた人であっても、第二世代モデルが出たらまた試したいと述べている場合は少なくありません。

また、Vision Proは現在米国でのみ購入できる製品ですが、米国では商品の返品に対する社会的な慣習が、特に日本とはかなり異なることも背景にあります。

日本では宣伝文句に明確な虚偽があったり不良品でもないかぎり返品しない人が多く、売る側も「客の都合による返品は受けない」とすることがほとんどですが、米国では家電などを購入して単に気に入らなかったから、思っていたのと違ったからで返品することが多く、店舗でも厳しく確認などせず受け入れることが一般的です。

(たとえば電化製品は衣料品についで返品率が高く、ある調査では平均してオンラインで16%に上るとの結果もあります。これは一概に消費者が強いからという理由だけでなく、日本でも特にオンライン通販でよくあるように、販売側としても返品無料で気軽に購入してほしい思惑もあります)

このように返品がそもそも多い背景に加えて、特にこの時期に返品の波が起こっているのは、アップルの返品に関する規定で「製品が期待していたものと異なる場合は、製品を受け取ってから14日以内なら、レシートがあれば返品または交換できる」と定められているから。

もし発売初日にVision Proを購入したのであれば、2月16日がその期限となります。したがって、いまは返品の報告が目立って見えてはいるものの、実際の返品率やユーザーの低評価は、それほど酷いものではない可能性もあるかもしれません。

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