「セクシー田中さん」原作者の許可なく「一言一句変えられない」北村弁護士が「改変」修正する権利を解説

北村晴男弁護士が14日、自身のYouTubeチャンネルに動画を掲載し、2023年12月まで日本テレビ系で放送されたドラマ「セクシー田中さん」の脚本の権利について解説した。

北村氏は「『セクシー田中さん』問題/漫画家・原作者の権利は法律で守られていないの?」と題した動画を掲載。ユーザーから寄せられた「原作者の方がドラマ化の条件として『原作を変えないで』と要望を出したのに 上がってくる台本がそのようになっていなかった ということをSNSで発信されていました 日本の法律ではそういった原作者を守る法律はないのですか?」という質問に答えた。

ドラマについて原作者・芦原妃名子さんは、内容が「改変」された脚本を修正するため対応に苦慮していたこと、結局9、10話の脚本は自身が手がけることになったことなどをSNSで公表していた。

北村氏は、芦原さんに「著作者としての権利があります」と明言。著作者人格権の中に「同一性保持権」があるとし「著作者の頭の中にある原作、それを勝手に変えちゃいけないという権利。これはもう絶対的な権利としてあります」と説明した。同一性が損なわれた場合には元に戻すことや損害賠償などを求める権利が発生するという。

芦原さんがSNSで公開した内容を確認した上で「原作者のOKがなければ一言一句変えられません。裁判例なんかを見ても、句読点を勝手に変えても同一性保持権の侵害となります」と明かした。一方で、原作者の許可があれば改変も許容されるとし「ドラマにするとか映画にする時は、原作者のOKをもらって中身を変えていくわけです」と流れを説明した。

「大きく変えてもかまわないです、原作者がOKさえすれば」と“原作者のOK”の必要性を強調。逆に原作者が改変に対して反対意見を明示しなければ「(改変に)同意したものとみなされる」とした。

自身のテレビ出演経験も踏まえた上で、制作現場と原作者の思いが「微妙にズレていくことは当然あること」と推測。それでも原作者はズレを「自分の思いに引き戻す権利がある」とし「それだけ強い権利を著作者は持ってる」と断言した。

ズレを修正するのは「大変な労力がいりますけど、原作をドラマにする以上はこれをやらざるを得ないんですね」と指摘した。芦原さんも修正をするのに「大変な思いをされたんだと思います」と苦労に思いをはせていた。

(よろず~ニュース編集部)

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