【高校受験2024】神奈川県公立入試<特色検査>講評

【高校受験2024】神奈川県公立入試<特色検査>講評

2024年2月15日(木)、令和6年度(2024年度)神奈川県公立高等学校入学者選抜共通選抜の特色検査が実施された。

リセマムでは、湘南ゼミナールの協力を得て、令和6年度(2024年度)神奈川県公立高等学校入学者選抜共通選抜「特色検査 共通問題・共通選択問題」の講評を速報する。

特色検査・共通問題(問1・問2)講評

(湘南ゼミナール 提供)

問題の概要

複数文の素早い読解力が求められる、英語・日本語の文章問題

昨年同様に問1が英語長文、問2が日本語長文の構成で、問1は1つの会話文と1つの発表原稿、問2は1つの説明文を題材にした出題であった。

問1は「キャッシュレス」と「二次元コード」をテーマにしたもので、受験者にとっても身近な話題であったのではないだろうか。設問数は5問とほぼ例年通りで、読解、読取、計算と幅広く出題されている中、本文内容一致の出題がなく受験生にとっては時間を確保しやすかったと思われる。

問2は「水」をテーマにしたもので、文章は、黒田官兵衛の『水五訓』からバーチャルウォーターまで広く話題が展開されているものであった。設問数は5問でほぼ例年通り。設問内容は国語や社会の文系を中心とするものであったが、1問だけバーチャルウォーター量を計算する問題が出題されており、変換作業をスムーズにできるかを問われた。

設問の特徴

「文章読解力」「科目基礎力」要素を含む出題

ページ数・問題数に関しては、問1が4ページで5問、問2も4ページで5問の出題をしており、概ね昨年に近い分量であった。

問1は、英語の読解力をベースにしたグラフ問題、空欄補充問題、計算要素が含まれる問題が出題された。ほぼ毎年出題されていた(オ)の内容一致問題がなくなったこともあり、問1をいつもよりもスピーディーに解けたと感じた受験生が多いのではないだろうか。

また、問2でも文章量、難易度は平易なものであったため、読みやすく感じたのではないだろうか。設問に関しては、例年通り、文章に依拠する設問、独立した設問に分けられた。いずれも読解力、思考力を問うものが多く、中には計算を必要とする設問もみられた。大問内での科目横断はみられるが、科目要素が強くなってきているように感じる。

取り組むにあたって意識すること

正確な読解力、確実な学力を身に付けること。

特色検査で求められることはいかに効率よく、かつ正しく情報を得て、編集し、解答を作るかという点にある。

問1・問2という長文読解をベースにする問題に関しては、じっくり長文を読まなくても設問処理をしていける、特色検査に応じた長文問題の読み方、解き方を身に付けたい。

日ごろの英語や国語の学習で意識することももちろん大切であるが、特色検査に向けての対策も並行して行っていきたい。

特色検査・共通選択問題(問3~問6)講評

(湘南ゼミナール 提供)

問題の概要

多角的な思考を要するバラエティーのある出題

昨年から大問が1つ減り、選択大問は4題で、この中から各校が2題を選択する形となった。減った大問は「問7」であったため、横浜翠嵐高校・厚木高校の受験者は問題が配布された時点で驚いたのではないだろうか。

問3は、2人の生徒の「冨嶽三十六景」を中心とした会話文の中から、英語・数学・国語・美術の要素を用いた思考力を問う問題と計算力を問う出題がなされた。

問4は、「論理」と「数理処理」というテーマを言語力や立体パズル、油分け算、16進法という理系の題材が中心となる出題がなされた。

問5は、「物理」、「数学」といった理数内容をテーマにした問題が出題された。かなり科目的な内容によっており、読解力に加え、理数の学力が試されていた。

問6は、ワールド・ベースボール・クラシックを話題とした会話文をベースに、数学・理科・社会にまつわる難易度の高めな問題が出題されており、最も時間を割かれた問いになったのではないだろうか。

<各校の選択問題>
横浜翠嵐高等学校 問5・問6
柏陽高等学校 問3・問5
湘南高等学校 問3・問4
厚木高等学校 問5・問6
川和高等学校 問3・問4
希望ケ丘高等学校 問3・問5
光陵高等学校 問3・問5
横浜緑ケ丘高等学校 問3・問5
多摩高等学校 問3・問5
横須賀高等学校 問3・問5
横浜国際高等学校(国際科)問3・問4
茅ケ崎北陵高等学校 問3・問5
平塚江南高等学校 問4・問5
小田原高等学校 問3・問5
大和高等学校 問3・問5
相模原高等学校 問3・問4
横浜平沼高等学校 問3・問4
鎌倉高等学校 問3・問5

設問の特徴

丁寧な読解力、深い思考・素早い計算を必要とする出題

問3は、(ア)~(カ)の中で計7問の出題。ページ数は6ページであった。資料をもとに英文を選ぶ問題や「神奈川沖浪裏」の鑑賞の問題、テンガロンハットを用いた計算問題など、一つひとつの難易度は高くはないが、どれだけこの問いに時間をかけられたかが得点に影響を与えたのではないか。

問4は、(ア)~(エ)の中で計9問の出題。ページ数は4ページであった。特色検査の対策をしてきた受験生ならば見たことがある問題が多かったと思われるが、枝問があり出題数が多い上に素早い思考や多くの作業を要する問題もあったため、想定以上に時間を要したと感じたのではないだろうか。

問5は、(ア)~(オ)の中で計6問の出題。ページ数は4ページであったが、1問ずつどれも高い学力、深い思考力、正確な読解力を必要とする出題となっていた。手が止まった時に潔く次の問題にアタックできたかどうかも得点に影響したと思われる。

問6は、(ア)~(オ)の中で計7問の出題。ページ数は4ページであった。設問数・ページ数ともに多くないが、一つひとつの問題が情報を適切に読み取る力、それを元に思考する力、計算する力を高度に要求している。また、理科の生物の知識を問われる出題もみられた。

課題と対策

問題文を正しく読み、問われていることを明確にしていくことが求められる。また、複数の情報から、それを編集し一つの解に結び付けていくことが求められる。

大問ごとで必要とされる力は多岐にわたるが、以下の2点が重要。

1点目は、素早く正確に読み取ること。与えられる情報や求めるべきことを正しく理解した上で解き進めることが大切。そのためにも日常で起こる「ケアレスミス」を軽んじず、原因を考え解消に向かう努力をしたい。

2点目は、日ごろの学習について、深く理解することを心がけていきたい。「こうなったらどうなんだろう」「これってなんでだろう」というような疑問を日常から持ちながら学習を進めていきたい。


このレポートは令和6年2月15日(木)に、速報として湘南ゼミナールにより作成されたもの。
協力:湘南ゼミナール(執筆:横浜翠嵐V・難関高受験コース事業部長・教務支援部特色検査責任者 北原剛輔氏)

編集部

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