『パスト ライブス/再会』の最重要人物? アーサー役ジョン・マガロが語る

4月5日より公開される映画『パスト ライブス/再会』の新場面写真が公開された。

A24と韓国のCJ ENMが共同製作した本作は、移住によって離れ離れになった幼なじみのふたりが24年後、36歳の夏にNYで再会する7日間を描くラブストーリー。賞レースの幕開けを飾る第33回ゴッサム賞で作品賞を受賞し、第81回ゴールデングローブ賞では『オッペンハイマー』や『バービー』などと肩を並べ、作品賞(ドラマ部門)、監督賞、脚本賞をはじめ主要5部門にノミネート。さらに、先日発表された第96回アカデミー賞では、作品賞と脚本賞の主要2部門でノミネートされている。

監督を務めたのは、本作が長編監督デビュー作となったセリーヌ・ソン。12歳の時に家族と共にカナダへ移住した自身の原体験を元にオリジナル脚本を執筆した。主人公・ノラを演じたのは、Netflixのドラマシリーズ『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』で注目され、声優として『スパイダーマン:スパイダーバース』にも参加しているグレタ・リー。幼なじみのヘソン役に『その恋、断固お断りします』(Netflix)などのユ・テオ、夫アーサー役に『ファースト・カウ』などのジョン・マガロが名を連ねた。

公開された場面写真は、主人公・ノラ(グレタ・リー)の夫アーサー(ジョン・マガロ)を捉えたもの。

アジアにルーツのある面々に囲まれキャスティングされたのが、イタリア系の父とユダヤ系の母を持つジョン・マガロ。彼は劇中、12歳の冬ソウルから北米にやってきたノラの夫・アーサー役を演じている。結婚して7年、今でも出かける時には手を繋ぎ、日々の会話も大事にしている仲の良い夫婦の日常に突如波紋を呼ぶきっかけになるのが、ノラの幼なじみであるヘソン(ユ・テオ)の存在。ノラの歴史を知る彼にアーサーは複雑な感情を抱いていく。

マガロはアメリカのオハイオ州で生まれ、地元周辺の演劇作品への出演からキャリアをスタートさせた。デイヴィッド・チェイス監督の『時代はロックンロール』に主演し注目の存在に。トッド・ヘインズ監督の『キャロル』や、アダム・マッケイ監督の『マネー・ショート 華麗なる大逆転』などに出演し、ケリー・ライカート監督作『ファースト・カウ』では、主人公のクッキー役を演じた。

ヘソンとアーサーの初対面のシーンを撮影する上で、マガロとソン監督の中であるアイディアが生まれた。「テオと僕は初対面のシーンまで顔を合わせないことにしたんだ。撮影スタッフの協力もあって、テオとは違うドアを使ったり、リモート会議ではカメラをオフにして声しか聞こえない状況で行ったりして。物語の中では、ヘソンとノラがアパートにやってくるシーンで、アーサーはヘソンに初めて対面するんだけど、僕自身も初めてそこでテオに会ったんだ」とマガロは明かす。

何となく相手のことを知っている、という映画と全く同じ状況で出会い、その後バーカウンターで横に並んで座るシーンの撮影に移った3人。ノラを中心に、その左右に座るヘソンとアーサーだが、その時のことをマガロは「僕はあの場から逃げ出したくて、飲み物を取りに行ったり、トイレに立ったり、いくつもアイディアを提案したけど……監督は気まずくて不快なあの空間に僕をとどまらせたんだ」と振り返る。

セリーヌ・ソン監督は、本作のテーマについて、「この映画は男女二人の恋愛を描いた物語では無いし、彼らが愛し合うことを描いた物語でもありません。お互いを愛することが出来る三人の物語なのです」とノラとヘソンの2人だけが主人公なのではなく、アーサーという存在が本作で非常に大きな役割を担っていることを明かした。

(文=リアルサウンド編集部)

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