肌を老化させる“3つの化”とは? 今すぐできるアンチエイジング法

老化現象が顕著にあらわれるのは一番目につく肌ではないでしょうか。いつまでも若々しくいたいとアンチエイジングに興味を持っている人も多いと思います。

しかし、肌の状態は年齢とともに変化していくため、若いころと同じ生活をしているだけでは十分とはいえません。正しい知識を「あんしん漢方」の薬剤師が解説します。

肌が老化するメカニズム

肌にはコラーゲンを作る「線維芽細胞」があり、この細胞の力によって肌のハリが保たれています。しかし、線維芽細胞は年齢に伴い減少し、機能も低下していきます。

加えて、年を重ねると抗酸化作用が低下したり、ターンオーバーが遅くなったりするのも、肌の老化の原因の1つです。

肌の変化

20代

・毛穴の広がり
・肌のくすみ
・皮膚再生力の低下
・ハリの減少

30代

・シワ・シミが気になり始める
・乾燥しがちになる
・肌が敏感になる
・赤み・油分

40代

・シワ・シミが刻まれる
・フェイスラインのたるみ
・過度な乾燥
・肌のバリア機能・ハリの喪失

このように、肌はゆっくりと、しかし着実に老化していきます。そのため、今の自分の肌の状態を知ること、適切なケアを行うこと、そして、肌の老化を遅らせることが重要です。

肌を老化させる3大要素

「敵を知るにはまず味方を知る」というように、肌の老化に立ち向かうためには、その原因を知ることが最初の1歩です。知らず知らずのうちにNG行動をしていないか、自分の生活を振り返ってみましょう。

1.酸化

酸化とは、日常生活で生じる酸化ストレスが活性酸素となり、体内のさまざまな物質と結びつき、ダメージを与えることを指します。

もちろん、人にはダメージから肌を守る抗酸化作用も備わっています。しかし、酸化ストレスの蓄積や老化による抗酸化作用の低下によりダメージから肌を守り切れなくなると、肌トラブルを起こしてしまうのです。

2.糖化

糖化とは、からだの中でタンパク質や脂肪が余分な糖と結びつくことを意味します。

糖化のプロセスでAGEsという悪玉物質が生成されます。AGEsが蓄積していると、ターンオーバーが行われにくくなり、その結果肌の老化を引き起こすといわれています。

3.炎化

炎化とは、酸化や糖化を起こした肌が炎症を起こしている状態です。赤みや乾燥など目に見えるかたちであらわれていれば適切な措置を施すことが可能ですが、厄介なのは目に見えない皮膚の奥で発生する慢性炎症です。

表面的には変化がなくても、酸化や糖化によって炎症が起こった細胞が、メラニンを増やしたり、コラーゲンを破壊したりしながら、肌の老化を進行させてしまう危険性があります。

肌を老化させるNG行為

酸化、糖化、炎化を引き起こす主なNG行為は以下の通りです。

・紫外線を浴びる
・喫煙
・飲酒
・過度な運動
・過度なストレス
・糖分の摂りすぎ
・睡眠不足

酸化ストレスは消えることなく肌に蓄積されていきます。肌の老化の進行を抑えるためにも、NG行為をしている人はすぐに生活習慣を見直しましょう。

今すぐできる肌のアンチエイジング

アンチエイジングに早すぎるということはありません。肌の変化に気づいたらすぐに対策をしていきましょう。

1.スキンケア

シワ対策

シワは、肌のハリを保つコラーゲン線維が減少することが原因です。コラーゲン線維の量は、女性ホルモンのエストロゲンによってコントロールされています。

しかし、エストロゲンの分泌量は20歳を過ぎたころから徐々に減少していき、それに伴いコラーゲン線維も減少していきます。その結果、肌にハリがなくなり、シワやたるみができてしまうのです。

そのため、シワ対策のポイントは、肌に栄養を与えることと、角質を取って肌の新陳代謝を活発にすることの2つです。ビタミンA(レチノール)、ビタミンB(ナイアシン)、ビタミンC誘導体(リン酸型)、ポリフェノールなどの抗酸化成分が入ったスキンケアアイテムを選ぶようにしましょう。

シミ対策

シミは、紫外線によるダメージの蓄積が主な原因です。紫外線を受けると肌は防御反応を起こしてメラニン色素を生成します。

肌の表面はターンオーバーによって1か月程度で元に戻りますが、皮膚の奥にダメージは蓄積され、加齢にともないターンオーバーのスピードは遅くなります。結果、肌が受けたダメージがシミとして残ってしまうのです。

そのため、シミ対策には、メラニン色素の合成を防ぐ成分を中心に、美白成分を組み合わせて使うのが効果的です。カツミレエキス、アルブチン、油容性甘草エキス、ビタミンC、ビタミンC誘導体、プラセンタエキスが配合されたスキンケアアイテムを探してみましょう。

2.食生活

肉、魚、卵などのタンパク質

肉、魚、卵などの動物性タンパク質にはコラーゲンの原料となるアミノ酸が含まれています。そのため、ハリのある肌を目指すには動物性タンパク質を摂取するのがおすすめです。

摂取量は、厚生労働省が推奨している、成人男性60~65g、成人女性50gを目安にしてください。

大豆、大豆食品

大豆には、肌のターンオーバーを助けるビタミンE、肌の細胞を作る植物性タンパク質、そして、エストロゲンと似た性質を持つイソフラボンなどアンチエイジングに役立つ栄養素が豊富に含まれています。

納豆なら1~2パック、絹ごし豆腐なら1/2丁程度(約140g)を目安に毎日摂取するのがいいでしょう。

野菜・きのこ・海藻類

野菜、きのこ、海藻類には抗酸化作用を持つビタミン類や、美肌効果のあるミネラルが含まれています。他にも、人参に含まれるβカロテンやトマトに含まれるリコピンにも抗酸化作用が期待できます。

淡色野菜が200g、緑黄色野菜は100g、きのこ、海藻類は50gが1日あたりの摂取量の目安です。

アンチエイジングには漢方もおすすめ

スキンケアや食生活に加え、漢方薬もアンチエイジングの効果が期待できます。

肌のアンチエイジングには、「血流をよくして肌に栄養をいきわたらせる」「肌の新陳代謝をよくして紫外線によるダメージを回復する」「水分の循環をよくして肌に潤いを与える」「ホルモンバランスの乱れを整える」などの生薬を含む漢方薬を選び、根本改善を目指します。
今回は、血の巡りを整えて、肌に栄養を届ける働きがある漢方薬を2つ紹介します。

・当帰飲子(とうきいんし)

「血(けつ)」を補う「四物湯(しもつとう)」をベースにした漢方薬です。肌に栄養分と潤いを与え、乾燥肌を改善します。

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

血行をよくして「血(けつ)」の滞りを取り去り、肌に栄養素をいきわたらせ、ニキビやシミ、肌荒れなどの肌トラブルを改善します。月経不順や冷え、肩こりなどの諸症状にも用いられています。

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スマホで完結できるので、対面では話しづらいことも気軽に相談できますよ。お手頃価格で不調を改善したい方は、医薬品の漢方をチェックしてみましょう。

今はハリのある肌を保っている人も、スキンケアを怠り、乱れた生活習慣を続けていると、数年先、数十年先に、その結果がシワやシミとなって肌にあらわれます。

エイジングケアは、気になり始めたときがはじめ時です。いつまでも自信の持てる姿でいられるよう、アンチエイジングに取り組んでみるのはいかがでしょうか。

参考
肌の老化のメカニズム、シミシワの原因について
・クラシエ
・湘南美容クリニック

酸化、糖化、炎化について、またその対策
・資生堂
・大正製薬コラム
・大正製薬コラムその2
・Yahoo Voce記事

アンチエイジングに良い食材について
・メディプラス乾燥予防研究所

<この記事を書いた人>

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。

「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。

症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

(ハピママ*/ あんしん漢方)

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