茨城県龍ケ崎市は15日、牛久沼東岸に計画していた道の駅整備事業を中止すると発表した。地盤改良のための設計見直しや追加工事による事業費の増加が想定されるほか、昨年6月の大雨に伴う牛久沼の越水で、市民や市議会から安全性を危惧する声が上がったことなどから、事業継続は困難と判断した。
道の駅は当初、国道6号と牛久沼の間にある約3万2000平方メートルの敷地に、中核の地域振興施設2棟をはじめ、イベント広場やレストラン、河畔に遊歩道などを整備する計画だった。市が2017年に基本計画を発表、19年度の開業を目指していた。事業費は17億1000万円。
当初は18年度に建設工事を始める予定だったが、予定地が市の想定より軟弱な地盤だったことが判明。施設整備に必要な護岸工事に着手できず、他の構想との整合性も図ったため開業時期が延期され、19年以降は「未定」となっていた。
市は23年3月、規模を縮小して整備する方針を打ち出したものの、事業費は25億6000万円に膨らんだ。加えて6月の大雨による牛久沼の越水で、市民や市議会から治水対策を優先するよう求める声が上がったほか、県調査では広範囲な地盤沈下も確認された。事業を継続した場合、追加工事などで費用増が避けられない状況だった。
萩原勇市長は「苦渋の決断。(地盤沈下で)いつ越水するか分からない状況で、市議会からの要望もあり中止を決めた」と話した。