横浜市/市大付属2病院・医学部再整備、前提条件見直し新病院は浦舟地区に整備

横浜市は、市立大学付属2病院と医学部の教育・研究施設再整備について、米軍根岸住宅跡地(根岸住宅地区)に一体的に整備するとしてきた従来方針を転換する。1カ所集中に伴う周辺の渋滞を避けるため、新病院は救急棟など市大センター病院がある浦舟地区に、医学部施設は約1キロ離れた根岸住宅地区に分散整備する方向性を打ち出した。見直しを踏まえ基本計画案を2024年度に策定し、25年度に市民意見の募集を経て計画を確定する。
新たな方向性については、15日の政策・総務・財政委員会で市が新プランとして提示した。20年度に市が策定した再整備構想を踏まえた根岸住宅地区(中区、南区、磯子区、面積約43ヘクタール)での一体的整備案には▽渋滞の抜本的解消ができず救急車両のアクセスに支障がある▽バスの大幅増便が必要▽新病院、医学部施設の土地取得費が必要-などのデメリットを挙げた。
その上で新病院を浦舟地区(南区浦舟町)に、医学部施設を根岸住宅地区に分散整備するメリットとして▽市内広域から救急車両のアクセス確保が可能▽複数の公共交通機関が利用でき利便性が高い▽新病院整備のための新たな土地取得費が不要-などを列挙。一方、新病院と医学部施設の間の移動に徒歩で約15分、車でも約4分かかる点が課題だとした。
市は課題への対策として、新病院内に臨床研究を行う一部の研究室と医師・学生の控室、講義室を確保することや、新病院~医学部施設間の移動手段としてシャトルバスなどを検討する考えを示した。
市は全面開院・開校を24年度からおおむね15年後に想定。新病院工事は病院機能を維持しながら部分的に解体、建設、移転を繰り返して最終的に工事を完了するローリング計画で順次進める。具体的な工事期間・工法については24年度に策定する基本計画の中で検討する。1989年竣工で老朽化により再整備の必要性・緊急性が高い市大センター病院救急棟などの早期整備を検討する。
再整備を巡っては、市が22年度に実施した事業費、事業手法、交通アクセスの検討や交通量実態調査で、交通渋滞の可能性や資材価格高騰が課題に浮上。このため、23年度から複数の候補地の検討を行い、市と市大の間で、新病院は浦舟地区に、医学部施設は根岸住宅地区に整備することを基本として基本計画の策定を進めることを確認した。

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