ヤマコン/全ポンプ車の稼働状況データ収集、働き方改革へ取り組み強化

コンクリート圧送大手のヤマコン(山形市、佐藤隆彦社長)は、4月に始まる時間外労働の罰則付き上限規制を含め、働き方改革への対応を強化している。保有する100台超のコンクリートポンプ車から走行や装置のデータを収集。稼働状況を詳しく分析して現場に出る従業員の勤務時間を把握し、法規制の範囲内で収まるように対応する。佐藤社長は「最適な人員や機械で顧客の要望に応えていく」としている。
同社は東日本を中心に拠点を構えさまざまな工事に対応している。コンクリート圧送業の場合、注文に応じポンプ車のモータープールから土木・建築工事の各現場に向かい、作業をした上で元の場所に戻るのが一般的なルーティン。勤務時間のカウントはモータープールが起点になる。
4月以降は移動時間+作業時間と前後の準備時間を考慮した勤怠管理で時間外労働を抑える取り組みが不可欠になる。圧送作業は現場の施工計画に合わせ日々異なる場所に向かう。大規模工事でも現場に事務所はなく、各車両を担当するオペレーターに時間管理などを委ねる。
時間外労働の規制対応では、社員一人一人の勤務時間を確実に把握することが求められる。同社は対応策として昨秋までに保有する全ポンプ車に、リアルタイムで運行管理が可能なデジタルタコグラフを改良したシステムを導入。走行データや圧送装置の稼働データを把握・分析し、時間管理に活用するようにした。
4月から建設業も時間外労働(休日労働含まず)の上限は原則月45時間・年360時間になり、特別な事情がなければ超過できなくなる。労使で合意しても時間外労働は年720時間以内とし、時間外労働+休日労働も月100時間未満、2~6カ月平均80時間以内を厳守する。
従業員個々の時間外労働をしっかりと把握した上で、同社はまず「(超過の恐れがある場合は)現場に出さず事務所で仕事をしてもらう」(佐藤社長)“ゼロか100かの対応”を採る考え。一人のオペレーターがさまざまな機器を使いこなせる教育、人員や機械の最適配置と稼働の平準化などを推し進め、働き方改革と施工品質の維持向上を両立。現場作業の前倒しをゼネコンに要望するなどして難局を乗り切る考えだ。

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