主要ゼネコン26社/23年4~12月期決算、24社増収・原価上昇などが利益影響

主要ゼネコン26社の2023年4~12月期決算が14日に出そろった。連結売上高は、再開発案件や大型生産施設など手持ち工事が順調に進捗(しんちょく)し24社が増収となった。本業のもうけを示す営業利益は15社で増益。ただ建設資材価格の高止まりに設備工事費の上昇が重なるなど、コスト面で「厳しい経営環境が続いている」(中堅ゼネコン担当者)。民間の設備投資が堅調に推移するが、各社は時間外労働の上限規制適用を目前に控え施工体制を考慮しつつ、採算重視の受注を徹底する。
連結売上高は民間工事に加え、道路や河川、港湾、鉄道などのインフラ整備が順調に推移し増収につながった。鹿島や清水建設、長谷工コーポレーション、東亜建設工業など15社が過去最高を更新した。
利益確保が厳しい中、営業利益は15社が前年同期を上回った。資材価格高騰や工事原価の上昇などが続くものの、原価低減策やDXによる生産性向上の成果も表れてきている。減益になった企業では「土木工事の進捗遅れ」「工事原価の増加」「建築工事での設備業者の不足」などを採算悪化の要因に挙げた。
工事の採算性を示す単体の完成工事総利益(粗利益)率は公表している23社のうち10社が前年同期と比べ上昇した。2桁台を確保したのは鹿島、インフロニア・ホールディングス(前田建設)、戸田建設、奥村組など11社だった。
業績の先行指標となる単体受注高は、再開発や工場、物流施設など豊富な建築需要を背景に15社が前年同期を上回った。防災・減災、国土強靱化に加え防衛関連への投資にも期待が高まっている。需要の先行きに不安感はないが、「建設資材価格の高止まりや労務需給のひっ迫が見込まれる。建設コストの上昇などが懸念される」(準大手ゼネコン)との声も漏れる。
採算面で厳しさが残る中、4月には時間外労働の上限規制が適用される。各社は施工体制の維持、採算重視の選別受注に努める姿勢を色濃くしていきそうだ。

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