米FRB、大手行に対する健全性審査のシナリオ公表

Michelle Price

[ワシントン 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は15日、大手銀行32行を対象とする今年のストレステスト(健全性審査)のシナリオを公表した。

全体的な内容は昨年とほぼ同じ。最も深刻なシナリオで想定される住宅価格の下落率は昨年の38%が36%に変わったが、商業不動産の下落率は40%に据え置かれた。失業率の想定上昇率も6.5ポイントのまま。10%がピークになると想定している。

ただ今年は、従来に比べてより幅広いリスクへの耐性を調べるため、銀行システムの「予備解析」という項目が加わる。大手行の預金の大部分が急速なリプライシング(価格調整)に見舞われるといった昨年3月のような資金調達ストレスを想定している。

また最大手クラスで経営構造が複雑な銀行は、5本の大手ヘッジファンドが破綻するというシナリオでの耐性もテストされるという。

このストレステストの結果は6月に明らかにされる。

今年のストレステストは投資家、アナリスト、規制当局の注目度が高まるとみられる。米国では昨年、地銀3行が破綻したほか、大手行も資本規制強化案を巡ってFRBと対立している。先月にはニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)が商業不動産向け融資の損失計上を受けて、株価が急落した。

大手8行の経営者団体「フィナンシャル・サービス・フォーラム」のケビン・フローマー最高責任者(CEO)は「経済の強い逆風にもかかわらず、大手行は力強く、資本は盤石で、米国の家計・企業を支える重要な源になっている」と表明した。

© ロイター