パリSGを翻弄した久保建英に現地メディアからは高評価も… 一方で失点場面を「僕のミス」「罪悪感抱く」と猛省

現地時間2月14日に行なわれたチャンピオンズ・リーグ(CL)ラウンド・オブ16のファーストレグは、レアル・ソシエダがホームのパリ・サンジェルマンに0-2で敗北。これで連続未勝利&無得点は5試合(公式戦)に伸びた。

強敵相手にプレッシングをかけて攻撃を封じて試合を折り返したソシエダだったが、58分にCKからキリアン・エムバペの先制ゴールを許し、さらに70分には速攻からブラッドリー・バルコラに左サイドを破られ、そのまま強烈なシュートをゴール右隅に突き刺されてリードを広げられてしまった。

久保建英はアジアカップ後のソシエダ合流後、全3試合連続でスタメン入りを果たし、序盤は右サイドで光るプレーを披露。UEFA(欧州サッカー連盟)の公式サイトは、「久保がマーカーのルーカス・ベラルドをかわして惜しいニアポストへのシュート」「久保がベラルドを翻弄」「ソシエダの幾つかの良い瞬間で、タケ・クボがチャンスを迎える」「久保は右サイドで非常にトリッキーだ」とライブ実況でしばしばそのプレーに言及している。

さらに、「久保はパリSGにとって、非常に厄介な存在であることが証明されている。彼の足は非常に素早く、その低い重心はDFとしては対処するのが非常に難しい」と日本人アタッカーを称賛した同メディアだが、同時に「ソシエダはゴールを決められないまま8時間近く(474分間)が経過した。その間に彼らが生み出したチャンスを考えると、なぜこの記録を止められないのか理解するのは非常に難しい」と、チームの深刻な問題を指摘した。

最初の失点の場面では、久保がエムバペのマークを外した形となり、彼自身も「僕のミスです。イゴール(スベルディア)が競り勝ったと思い、セカンドプレーのために前に出ようとしたら、ボールは誰かの背中にはね返り、その瞬間にエムバペは2メートル前に出ていました。とても罪悪感を抱いています。あの失点まで、僕たちはとても良いプレーをしていたので」と反省の弁を述べている(マドリードのスポーツ紙『MARCA』より)。
失点の場面では、アマリ・トラオレが治療中で1人少ないという不利な状況であり、また本来であればこの右SBがエムバペのマークについていたはずであり、チームにとっても、久保にとっても不運だったと言えるが、彼は「僕がエムバペを捕まえなければいけませんでした。それをやめたことで、彼を見失ってしまいました。僕のミスであり、反省したいです」と潔く自身の過ちとした。
『MARCA』紙は、3点満点の採点でソシエダの他の大多数の選手同様に「1」の厳しい評価を久保に下したが、彼がドリブル、パス、フィニッシュと随所で好パフォーマンスを発揮したことを伝え、前半のシュート場面では「ベラルド相手に思い通りのプレーを見せ、多彩なボールタッチから引くシュートを放ったが、枠を外れた」と綴っている。

バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は、「久保はブラジル人のベラルドを翻弄したが、その明確な優位性を十分に活かせなかった。また彼は、何度か相手をかわしたものの、判断を誤り、プレーの選択や、ボールを持つべきでない場所に長く留まるなどのミスを犯した。ボールロストは24回あり、パス成功率は64%に止まった」とネガティブに評し、以下のように続けた。

「アンドレ・シウバやホン・パチェコに素晴らしいクロスを送った他、対ベラルドの印象的な個人プレーもあったが、エムバペの得点ではマークを忘れたことで非難を受けた。久保は疲れているようにも見えた。これは、プレー時間の負担からくるものだ。カタール(アジアカップ)から戻ってから、彼はまだ休んでおらず、3試合連続でフル出場している」

ただ、個別評価の記事では「不屈」と久保のプレーを表現し、「自らチャンスを生み出すものの、成功に結び付けるまでには至っていない。しかし、困難に直面したチームにとって、彼は必要な存在である。シウバには天才的なクロスを供給し、サイドネットに惜しいシュートを放つなど、最後までチームに貢献した」と賛辞を贈っている。
さらに、「久保はラ・レアルの攻撃における、唯一の違いであり続けた」とも綴り、「アウェーチームの攻撃は、タケ・クボを見つけることに重点を置きすぎているため、パリSGにとって予測可能になりすぎないよう、逆サイドでより多くの危険を生み出す方法を検討する必要がある」と指摘することで、背番号14の存在感の大きさを表わした。
地元バスクのメディアでは、日刊紙『noticias de Gipuzkoa』が10点満点の採点でチーム最高タイとなる「6」の及第点を久保に与え、寸評では「彼は間違いなく“個人主義者”だが、チームがそれを求めているからだ。そして彼は前半、攻撃的な姿勢で先制ゴールを生み出すことに非常に近づいた。後半になると少し存在感が薄まり、違いを見せつけるために長い距離を移動することが非常に多かった」と、後半は守勢の中で見せ場を創る機会に恵まれなかったと振り返っている。

最後に、サッカー専門メディア『El Desmarque』は、「日本人選手は非常にアクティブで、攻撃の面でも非常に切れ味があり、前半はパリSGの守備陣にとっての悪夢となった。ソシエダの攻撃のチャンスを利用したが、最後は力尽きた」とそのプレーを総括し、チーム2番目タイとなる「7」の高採点が付与された。

構成●THE DIGEST編集部

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