要配慮者支援へ初派遣 いばらきDWAT 2次被害防止に「全力」 能登地震

被災地の石川県へ出発するDWATのメンバーら=県庁

能登半島地震で被災した要配慮者などの支援に向け、茨城県内の福祉専門職などで構成する「いばらきDWAT(ディーワット、災害派遣福祉チーム)」が15日、石川県に向けて出発した。チームが被災地に派遣されるのは2019年の発足以来初めて。3月3日まで計12人を派遣し、要配慮者らが避難生活で体調を崩す「2次被害」を防ぐ。

DWATは避難所で他の支援団体と連携しながら、高齢者や障害者らの健康管理、相談支援などに取り組む。要介護度の悪化を防ぐほか、必要に応じて食事などの介助にも当たる。

チームは、県内の福祉関係団体や県など17団体で構成する「県災害福祉支援ネットワーク」が派遣。都道府県DWATの広域的な派遣調整を行う「災害福祉支援ネットワーク中央センター」の要請を受け、決定した。

6日間ごとに1~4班を派遣予定。第1班のメンバーはリーダーで看護師の市井邦彦さん(61)、救急救命士の中嶋光洋さん(61)、社会福祉士で相談支援専門員の関野洋平さん(40)の3人で構成し、石川県七尾市内の避難所で活動する。県職員1人も調整役として同行する。第1班は20日まで。

出発式が15日朝、茨城県水戸市笠原町の県庁であり、市井さんは「一日も早く被災者が元の生活に戻れるよう支援する。茨城県の名前を背負っていることを肝に銘じ、全力を尽くす」と現地での活動に意欲を示した。

県福祉部の深沢泰子次長は「地震発生から1カ月半が過ぎ、避難所の被災者は心も体も疲労でいっぱいだと思う。経験を生かし、安全に留意しながら活動してほしい」と激励した。

DWATは、東日本大震災をきっかけに取り組みが全国に広がり、多くの都道府県で派遣体制が整っている。茨城県は19年2月に同ネットワークが発足した。年1回の研修実施や避難訓練参加による支援活動の確認などでチーム員を育成。県社会福祉協議会が登録者の募集や研修業務、県が災害時のチーム編成や派遣調整を担っている。

茨城県DWATには現在、看護師や介護福祉士、精神保健福祉士など計130人が登録している。

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